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【小宮良之の日本サッカー兵法書】“局面の小さな勝利”で構成される「最も大番狂わせの多い球技」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2018年07月26日

わずかな傷口を抉り続けること

局面での勝利によって、チームに好影響を及ぼした酒井宏樹。「木を見て森を見ず」というが、サッカーにおいては森を見るためには、まず木を見る必要がある。 (C) Getty Images

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 ロシアW杯、日本もサイドに活路に見出している。とりわけ、乾貴士を中心にした左サイドは、敵陣で火の手を上げている。
 
 乾は独力でのドリブルスキルもさることながら、コンビネーション能力がスペインでのプレーによって習熟。大迫勇也、香川真司、長友佑都、柴崎岳らと連係することで拠点を作り、これによって相手の陣形を乱し、アドバンテージを取れた。
 
 また、右サイドで注目したいのが、酒井宏樹の健闘である。サイドが重要な局地戦になるのは相手も同じで、最も強力なアタッカーを注ぎ込んできた。酒井はそれに真っ向から挑み、互角以上の戦いを演じている。
 
 コロンビアのイスキエルドには何の仕事もさせなかったし、セネガルのマネ、ベルギーのカラスコのような一流アタッカーにも怯んでいない。酒井が局面で小さな勝利を得たことが、全体の局面を有利に繋がったのだ。
 
 試合前にチーム一人ひとりを比較し、どっちが有利か、と探る分析というのは、実はあまり意味がない。相手の陣地のどこかに火の手を上げられたら、そこを足掛かりに、幾らでも戦局は有利に動かせるからだ。
 
 ダメージを与えるには、わずかな傷口で十分で、そこを抉ればいい。無論、敵も同じことを考えるわけだが……。
 
 その駆け引きにこそ、フットボールの醍醐味はあるのだ。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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