「神の子」F・トーレスの実像――仲間を重んじ、世界を制したクラッキの素顔

カテゴリ:Jリーグ

山本美智子

2018年07月21日

F・トーレスがチームワークを何より重視するワケ

入団会見で最も強調したのも、仲間たちとの連帯感の大切さだった。写真:田中研治

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 16歳という若さでのし上がってきたF・トーレスに、誰もが脅威を感じていた。声もかけて貰えず、ロッカーに温かく受け入れてくれる土壌などなかった、と本人は当時を振り返る。誰にとっても、新しいロッカールームは容易に馴染めるものではないかもしれないが、その中で良い雰囲気を作る努力をすることを、F・トーレスは16歳で学び、キャプテンになった19歳の時から実践するようにしてきたと語る。
 
 その後、2007年にプレミアリーグのリバプールに移籍した初年度に、リーグ戦で24ゴールを奪ってインパクトを残したものの、10年に移籍したチェルシーでは監督の構想などと合わず、2014年にイタリアのミランへ移籍し、2年間プレーすることになる。
 
 そこから、また紆余曲折を経て古巣のアトレティコに戻り、今回、サガン鳥栖への移籍という冒険に乗り出すことになったのだ。
 
 スペイン、イングランド、イタリアと長いキャリアを通じて、クラブレベルでは不遇の時代もあったが、それでも歴代スペイン代表監督からの信頼は厚く、継続的に選出されてきた。15歳でU-16代表、19歳でA代表に招集されて以来、A代表で110試合に出場してきたF・トーレスは、代表ではワールドカップ、EURO、クラブレベルではチャンピオンズ・リーグ、ヨーロッパ・リーグというメジャー大会の決勝でプレーし、全てを制覇した経験を持つ唯一の選手でもある。
 
 トップレベルのサッカー選手として、誰もが夢見る全てを手に入れたF・トーレスだが、「チームワークのないところに成功はない」とそれを鼻にかけることもない。本人を知れば、経歴にも関わらず、その屈託がない人柄に、誰もが驚くに違いない。自らの努力で、「あの子」を「神の子」に昇格させたトーレスは、鳥栖でも、再び奇跡を起こしてくれるだろう。

文●山本美智子(フリーランス)
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