フランスの優勝はさらに、プレースキックを完璧に磨き上げて活用したチームの勝利でもあった。
 
　３ゴールはPKから（すべてアントワーヌ・グリエーズマン）で、リスタートから（ヴァランヌ、マリオ・マンジュキッチのオウンゴール）も、ＣＫから（ウンティティ）からもゴールをゲットした。ゴール全体の43％を占めたのだ。
 
　フランスの優勝はまた、若者たちの勝利だった。
 
　チームの平均年齢は25歳と10か月。これは、これからやって来る何年かに美しい展望を切り開いてもいる。だがより重要なのは、その若者たちがエゴをロッカールームにきっちりしまって、「グループ＝イレブン＋ベンチの全員」という概念のなかに幸福を見出したところにある。
 
　もっとも美しい模範はポール・ポグバだった。
 
　長い間、「ヘソ見主義」（自分のおヘソばかり眺める精神性＝自分が美しいかどうかや自分がどう悩んでいるかばかりを気にかける精神性）と「ノンシャランス」（投げやりで横着な態度）を批判されてきた彼が、ついにリーダー然として振る舞い、プレーから髪型に至るまで、シンプルに徹したのである。

 

　そして最後に、フランスの優勝は、怪物キリアン・エムバペの勝利でもあった。
 
　ワールドカップのファイナルで10代の選手がゴールを挙げるという快挙は、ペレが1958年大会に実現して以来初で、史上２人目。王様ペレ自身からツイッターで“帝位継承式典”への招待を受けたこの19歳は、まだ素晴らしいキャリアのほんの「夜明け」にいるだけだ。
 
　リオネル・メッシの陰に隠れる屈辱から逃れようとパリにやってきた哀れなネイマールは、今度はエムバペの陰に隠れてしまいそうである。