西野ジャパンの生命線『プレッシング』はW杯でも機能するのか?

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2018年06月13日

乾はコロンビア戦までに、どれだけコンディションを上げられるか

パラグアイ戦でも65分頃からスタミナ切れを感じさせた乾。90分を通して戦えるスタミナは戻るのか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 岡崎はさらに付け加える。
 
「前回のワールドカップで言えば、コートジボワール戦はすごく暑くて、意外にヤヤ・トゥーレとか、ディディエ・ゾコラとか、ボランチの選手が余裕でボールを持っていて、誰が行くの? みたいな。そういう状況になったとき、対処が難しかった。今はひとつのベースが出来たから、次はコロンビアに対して、徹底的に分析するのが日本のひとつの武器になると思う」
 
 コロンビアをどう見るか。この初戦の対戦相手も、パラグアイ同様にGKのビルドアップ能力、センターバックの持ち運ぶドリブルなど、プレッシングを外す能力は高いわけではない。無理にトライしてきたら、その裏をカウンターで突くチャンスが到来する。思い切って行く価値はあるだろう。
 
 しかし、このパラグアイ戦を視察したコロンビアは、日本のプレッシングを放置せず、何かしらの対策を打つはずだ。4年前と同じ「誰が行くの?」に陥らないように、準備に対する準備が必要になる。
 
 仮に相手の技量や戦術によってハイプレスが外されたら、乾や武藤嘉紀は、捨てたマークのところへスプリントして下がらなければならない。岡崎や香川も、相手センターバックからボランチへ、プレスラインを下げることになる。当然、行ったり来たりでフィジカルの負担は増す。負傷明けの乾は、この緩めのパラグアイ戦でも、65分辺りから体力の不安を感じさせた。果たしてコロンビア戦までに、どれだけコンディションを上げられるか。デリケートな問題だ。
 
 また、そこに目処が立ったとしても、守備のスイッチが入らず、運動量の負担ばかりが増す試合はできる限り避けたい。チームとしてコロンビアを分析した上で、システムやポジショニングで解決する方法を用意するのはもちろんだが、さらに岡崎は、個人としても対策を考えている。
 
「選手個々の中で、たとえば引いて守っていても、牽制することは可能だと思うんですよ。中途半端な位置を取って、“お前に行くよ”という素振りを見せて、行かないとか。それだけで相手はちょっと疲れてくるのかなと、個人的には思っている」
 
 守備における個のプレー。組織でプレッシングがハマらなければ、それを個で解決する道もある。岡崎が言うような“牽制”が利けば、相手GKやセンターバックのビルドアップ参加を、制限できるかもしれない。つまり、ハイプレスがはまり続ける。
 
 そこまでうまく行くかどうかはわからないが、少なくとも、4年前のコートジボワール戦よりも、選手個々が考えることのレベルは上がった。試合自体は楽しみにしてもいいかもしれない。ビルドアップが決して上手いわけではないコロンビアだけに、『プレッシング』はある一面のキーワードになりそうだ。
 
取材・文●清水英斗(サッカーライター)
 
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