しかし如何せん、シャドーが絡む回数があまりに少なかった。４－４－２システムに変えた終盤のほうが、柴崎岳を中心に多彩な仕掛けができていた印象だ。
 
　後半からピッチに立った香川もサイドアタック一辺倒だった点に苦言を呈している。
 
「うまく支配しながら点を取れるチャンスがあったので、そこは決めなきゃいけない。やはりバイタルエリアでいかにボールを受けられるか。なかなかサイドからのセンタリング１本じゃ厳しい。コンビネーションだったり、個人の判断だったりは求められているので、そういうところで攻めていかないと、なかなか相手の陣形は崩れない」
 
　３－４－２－１システムにこだわるのであれば、攻撃パターンの増加は不可欠で、それにはシャドーのアイデアが鍵になってくるはずだ。ガーナ戦でわずかしか見せられなかった創造的なアタックを、ワールドカップまでに追及する必要がある。
 
「（シャドーのポジションは）悪くないですし、これからさらに短期間ですけど、構築していければ、十分可能性は感じる」と香川が言えば、本田は以下のように語る。
 
「良くはなります、そこは間違いないです。ただどれぐらい良くしないと勝てないのかという議論になってくると思う。それはもちろん、いつも言っているようにそんな甘い話ではないので、危機感が当然あるし、できるだけ良くしないといけない。もうこれでもかというくらい詰めていかないといけないわけですよね。それをしますし、とりあえず次ですね。次までに１個良くして、さらに次までに１個良くして、というイメージでいる。今日１試合やれたことで、特に攻撃に関しては、明らかに何が必要かはある程度わかってきているので、そこは詰めていきます」
 
　本大会まで３週間を切った。短期間でいかに攻撃陣の連係を磨き、テクニカルなシャドーをいかに活かすか。新システムで日本が大金星を挙げるには、その擦り合わせが重要になるだろう。
 
取材・文●多田哲平（サッカーダイジェストWEB編集部）