誰よりもペケルマン監督を知る日本人解説者・都並敏史氏が語る「コロンビア攻略法」

カテゴリ:国際大会

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年06月12日

中央で縦パスを通されると、日本にとって厳しくなる。

2012年からコロンビアの指揮を執るペケルマン監督。コロンビアに安定感をもたらした功績は大きい。 (C) Getty Images

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 具体的な攻略法を考えるなら、日本の右サイドが分かりやすい。相手左SBのアルメロは、ボールに食らい付く選手。例えば内田からのパスを岡崎が下がって受ければ、前に出て奪おうとするだろう。
 
 そうなると普通は最終ラインがスライドし、CBの一方はセオリーどおり左に寄せてくるのだが、コロンビアはもう一方のパートナーのポジショニングが甘く、CBの間にギャップができるのだ。そのスペースを本田や柿谷が抜け出せばチャンスになる。岡崎がボランチに横パスを出し、そこから縦パスが入ればしめたものだ。
 
 特に左利きでキープ力のある本田は、エリア内の深いところでもプレーの選択肢は広がる。切り返して、少しタメながら味方のエリア内への侵入を見計らってパス、もしくは自らシュートも狙える。逆サイドから香川が入ってきて、グラウンダーのパスを受けてから細かいタッチで相手をかわし、ズドン。日本が得意とする連動性に富んだ攻撃。すでに僕の中ではイメージができている(笑)。
 
 ただし、その状況を作るまでが難しい。望ましいのは相手のボランチと最終ラインの距離が開いた状態であり、そのためには相手の守備陣形が整う前に仕掛けたい。さらに、ボールを持った内田の前には最低でも4-5人の選手がいるべき。すなわち、ボールの奪い方が問題になるのだ。理想を言えば、ハーフウェーラインから後方5メートルの間でマイボールにしたい。では、良い形でボールを奪うにはどうしたらいいか。
 
 日本はサイドに追い込む守備を得意とするが、厄介なことにコロンビアは安易にサイドにボールを預けるチームではない。CBがボールを持てば、前に出そうとする。しかもボランチが動きまくる。この動きはパスを受けるためだけでなく、実はマークを引き連れてCBが上がる道筋を作るため、一気にFWへ通すパスコースを作るためでもあるのだ。

狙い目は両CBの間にできるギャップ。右から連動して崩し、香川のフィニッシュが決まれば理想の展開だ。 (C)Getty Images

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 日本にとって、ここで中央の長い縦パスを通されると厳しくなる。必然的に深い位置での守備になるし、両サイドのJ・ロドリゲス、クアドラードが切り込んでくる。これは非常に危険で、一番避けなければいけない。
 
 僕が考える対応策としては、まずは中央を固めること。動き回る相手ボランチは、ある程度ほったらかしでOK。相手SBも、ハーフウェーライン近辺に上がるまでは無視。間違ってもボランチ陣は食いつかず、2列目の岡崎らが縦のパスコースを消す。そうなると、CBが持ち上がってくる。SBもかなり高い位置を取っているだろう。そこから相手がサイドにパスを出した瞬間に、囲い込んでボールを奪いたい。
 
 と、ここまで研究してなお、プラン完遂には不安がある。その要因こそが、ペケルマンだ。彼は分析力に長け、親日家でもある。日本贔屓な分、あちらも相当に研究してくるだろう。正直なところ、コロンビアに勝てる目は薄いと言わざるを得ない。だからこそ、日本はグループリーグ最初の2戦で、勝点6を奪ってほしい。それが僕の、率直な意見だ。
 
解説:都並敏史(サッカー解説者)
1961年生まれ、東京都出身。現役時代は読売クラブ、V川崎(現東京V)、平塚(現湘南)でプレー。アグレッシブな守備を引っ提げ日本代表としても活躍し、「狂気の左SB」の異名をとった。引退後は仙台などで監督を務める。今シーズンから浦安SCのTDに就任。
 
取材・構成:増山直樹(週刊サッカーダイジェスト)
 
※『週刊サッカーダイジェスト』6月3日号P28~29より抜粋。
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