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【小宮良之の日本サッカー兵法書】善と悪、正解と不正解、運と不運…全てが曖昧模糊なピッチの上

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2018年04月06日

「悪」と呼ばれた男の極めて純粋な姿勢

世界王者の一員となると同時に、悪者のレッテルも貼られたマテラッツィだが、そのスタイルは昔から一貫している。ただし全ての人が、信念を曲げなければ成功できるというわけではない。 (C) Getty Images

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 ジダンはマテラッツィから、家族をひどく侮辱され、その前から挑発的な言動を受けていたという。暴力行為に弁解の余地はないが、かといって一方的に悪とは責められない。情状酌量の余地がある。
 
 対してマテラッツィは、フェアプレーという考えに照らせば「悪」ということになるだろう。ジダンに精神的なストレスを与え、プレーを乱れさせるためには、手段を選ばなかった。言葉だけでなく、小突くようなプレーもお手の物。見咎められなければ、反則も反則ではない、というスタンスだった。
 
 しかし、マテラッツィはこの日だけでなく、常に際どいディフェンスで、その名を鳴らしてきた。勝利のためには躊躇しない。老獪なファウルもする。そして、自分の罪を最小限に見せる巧さを心得ていた。
 
 卑劣とも括れるだろうが、イタリアを代表するディフェンダーは「ファウルをファウルに見せない技術」を鍛錬し、勝利を勝ち取ってきた。
 
 ルールのなかで、勝利のため、必死に身体を張る。その試みはある意味、純粋極まりないものであった。いわば、「悪の華」のようなものだろうか。その結果、W杯優勝という栄誉を手にしたのだ。
 
 それは「悪運」とも言えるが、それでも運は運だろう。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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