R・マドリーの14歳中井卓大は、世界有数のエリート集団でいかに振る舞っているのか

カテゴリ:海外日本人

中村僚

2018年03月31日

今後求められるのは「独自の力を示すプレー」

大会初優勝を飾ったマドリー・カデーテB。中井(手前左)もチームメイトとともに喜びを爆破させた。(C)Getty Images

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 続く決勝戦は、開幕戦でも戦った湘南との顔合わせ。湘南は3-5-2システムで臨み、守備時には両ウイングバックが下がって5バックになる。マドリーのウイングにボールが入った時には、DFラインが素早くスライドして対応。ボールの奪いどころを明確にし、局面では互角の戦いを見せた。
 
 とはいえやはり、マドリーが一枚上手だった。湘南の守備陣形を見定めると、即座にDFラインの裏へロングボールを展開。そこからはショートパスとロングパスを織り交ぜて湘南を揺さぶり、終わってみれば2-0の快勝だ。圧巻のチームパフォーマンスで大会初優勝を飾った。
 
 湘南が守備陣形を整えてプレッシャーを強くかけてきたこともあり、中井は下がり目の位置でプレーすることが多かった。また、日本人同士の対抗意識があったのか、中井へのプレッシャーが他の選手に対するそれよりも強く感じられた。しかしその状況下でも、中井はボールを失なうことなく安定したプレーを披露。潤滑油としてしっかり機能していたのだ。

 
 大会を通じて能力の高さを示した中井だが、決勝の湘南戦では後半に途中交代し、彼が抜けた後もチームは変わらず質の高いプレーを持続させた。「重要なピースのひとつ」であることは間違いないが、「代わりのいない選手」には至っていない印象だ。マドリーにとってのそれは、9番FWサラ、10番MFブルーノ、11番FWデ・ラ・ビボラが該当するだろう。独力で3、4人を打破するドリブル、予想外のエリアからのシュート、全員の虚を衝くスルーパスなど、局面を変える力を持っていた。
 
 今後の中井に求められるのは、そういった独自の力を示すプレーなのかもしれない。
 
取材・文●中村僚
 
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