ロシアW杯は3バック!? おぼろげに見え始めた新生イングランドのチーム像

カテゴリ:ワールド

山中忍

2018年03月30日

「嬉しいサプライズ」と「最大の収穫」。

スターリング(右)とリンガード(左)は、息の合った連携を見せ、ここにきて評価を高めている。 (C) Getty Images

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 このテストマッチ2試合で3バックの一角に抜擢され、上々の出来を見せたカイル・ウォーカーは「嬉しいサプライズ」となった。SBが本職のウォーカーに「兼用」の目処が立ったことで、サウスゲイトは、本大会メンバーの貴重な1枠を攻撃要員に割くことができる。
 
 その攻撃陣では、2戦合計1ゴール・1アシストのジェシー・リンガードと、2戦目で出色の出来を見せたラヒーム・スターリングの台頭が最大の収穫だ。
 
 ロシアでの最低目標となるグループステージ突破は、強敵ベルギーとの対決ではなく、それに先立つチュニジア戦とパナマ戦での勝利が鍵を握る。そのために必要な得点は、ハリー・ケインとデル・アリのトッテナム・コンビに依存すると思われていたが、2トップの一角で試されたスターリングと2列目からの援護役に回ったリンガードの連携がオプションにあるのは、実に心強い。
 
 ベルギー戦では、最終ライン手前でエリック・ダイアーとジョーダン・ヘンダーソンを2枚の盾とする3-4-3で臨む手もあるが、格下に勝ちにいかなければならない先の2試合では、今回のふたつの親善試合で採用された3-1-4-2が濃厚だ。となれば、4月中には復帰するケインとスターリングの2トップに、リンガードが前線中央で絡むシナリオも現実的となる。
 
 
 オランダ戦はサブとして22分間の出場にとどまり、イタリア戦では軽傷でベンチからも漏れたアリには、良い意味でプレッシャーが掛かる。これは『攻撃を司るのは、アリ』と思われていたチームにとっても、本大会を間近に大きなプラスの変化だ。
 
 もっとも、テストマッチを終えた翌朝の国内紙では、「VARDY 1-1 VAR(ビデオ判定)」の文字があった『Mirror』紙を含め、ロシア大会での採用が決まった新テクノロジーがスポーツ第1面を飾った。
 
 機転を利かせたリンガードのFKを経たチャンスをジェイミー・ヴァーディーがフィニッシュした鮮やかな先制点は、その必要性が微妙だったビデオ判定でイタリアが得たPKによって台無しにされたのだ。
 
 しかし、メディアを含む国民からは、勝ち切れなかったことに対する批判的な声はさほど噴出していない。これも代表の現状に対する好感触があればこそだ。
 
 試合後、サウスゲイトは、「W杯本番でなくて幸いだった」と語ったが、母国代表に少しばかりの期待感を抱いている国民の多くも、母国代表がロシアのピッチでビデオ判定に泣くようなことがあっては困ると思ったに違いない。

文●山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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