“全力”を出し切れない選手たち…日本代表の悪癖は12年前から変わっていない

カテゴリ:日本代表

佐藤俊

2018年03月24日

代表常連組やベテランに遠慮したり、監督に忖度してプレーしても何も伝わらない

中島の積極的な姿勢は数少ない収穫だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 現在、ロシア・ワールドカップのメンバー選考が最終局面に入ってきているが、結局は大事な試合で選手が持っている力を与えられた出場時間の中で100パーセント出せるかどうか、そこが重要なポイントになる。世界のトップレベルの選手との差は単に技術やフィジカル的なもの以上に、そこに大きな差がある。世界と戦うには、まずそれができないと話にならない。
 
 しかし、マリ戦から見えてきたのは、結局ドイツから12年が経過しても代表のスタンダードなレベルは変わっていないということだった。テストがメインの試合は、コンビネーションで崩したり、連動した守備で守ることが容易ではないのが理解できる。周囲を活かして自分も活きるタイプの選手にとってみれば厳しい状況だろう。
 
 実際、マリ戦はダイレクトパスなどで崩すシーンがほとんどなく、裏に出すパスのタイミングも選手の特性を掴めていないせいか、うまく出せないシーンが何度もあった。しかし、代表の試合は、基本的には普段一緒にやっていない選手とプレーしないといけないところ。その場でどんな形であれ、自分の力を100パーセント発揮することが求められるのだが、その根本的なテーマを解消できていなかった。
 
 ある選手が持っている力を出せれば、うまく出せない選手もそれに引っ張られていく。それが連鎖していけば、戦術的に足りない部分や連係が拙いない部分を補える。勝敗はともかく、少なくとももっと気持ちの伝わる内容のある試合ができるだろう。
 
 唯一、輝きの片鱗を見せた中島翔哉は東京V時代から「がむしゃらにプレーして勝つことだけを求めていく」とよく言っていた。同点ゴールは、いつも自分の力を100パーセント出そうとする意識がプレーに反映され、生まれたものだといえる。
 
 マリ戦で大きなインパクトを残せなかったことは、多くの選手が感じているはず。当落線上ギリギリだと感じている選手は、代表常連組やベテランに遠慮したり、監督に忖度してプレーしても何も伝わらない。つぎのウクライナ戦ではマリ戦の反省を活かし、何人の選手が自分の力を100パーセント出したプレーを見せてくれるだろうか。
 
 それを証明できた選手だけがロシアの舞台に立つことになる。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)
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