乾貴士はなぜ「鬼門」のリーガで地位を確立できたのか? 戦術から紐解く活躍の理由

カテゴリ:海外日本人

中村僚

2018年03月10日

乾に芽生えた変化とは?

前方3選手のどこへでもプレスにいくことができ、かつ後方のスペースもカバーできるポジションをとれるようになった。

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 シーズン序盤こそベンチ外が続いたものの、敵地で行なわれた第9節のエスパニョール戦からスタメンに定着。1年を通して出場機会を確保し、最終節のバルセロナ戦で鮮烈な2ゴールを挙げたのだ。
 
 数字だけを見ると、15-16シーズンは27試合・3得点、16-17シーズンは28試合・3得点とあまり変化はない。しかし、15-16シーズンは1624分、16-17シーズンは2089分と、出場時間は大幅に伸びた。
 
 この1年で変化が見られたのは、大きく分けて「守備時のポジショニング」と「プレスを仕掛けるタイミング」の2つだ。


 
 まず、ポジショニング。システムの噛み合わせなどにもよるが、乾は相手のSB、CB、ボランチがマークの対象になり、数的不利になることが多い。しかし、味方のプレッシングの状況を見て、どこへマークにつくべきか的確に判断できるまでに成長。また、自分がファーストプレスをかける役割になった時も、的確にパスコースを塞げる位置取りをしており、相手の選択肢を削ることもできている。
 
 次にプレスを仕掛けるタイミングだ。エイバル加入当初の乾は、セットされた状態からプレスを始める時、背後を確認せずに無闇に突っ込んでいった。しかし、15-16シーズンの後半からは、周りの状況を一度確認してからプレスに行く場面が増えた。この変化からも、周囲と連動してプレスをかける意識が芽生えたことがわかる。
 
 こうした守備戦術の理解が進んだことでチームの信頼を得た乾は、すでに備わっていた攻撃面のクオリティーを発揮することで、エイバルの中核となり、アイドルとなっていった。
 
 そんな乾が成長を証明するためにも、今節のマドリー戦は重要だと言える。
 
 首位バルセロナと勝点15差の3位と、宿敵に大きく水を空けられているマドリー。第26節のエスパニョール戦ではアウェーで0-1の敗戦を喫するなど、国内の戦いにおいては、苦戦を強いられている印象だ。
 
 それでも、不振が指摘されてきた大黒柱のクリスチアーノ・ロナウドが、出場した公式戦5試合で8発と、ここにきて量産態勢に入り、チャンピオンズ・リーグ(CL)ではパリ・サンジェルマンを下してベスト8入りを決めた。
 
 また、中盤の核となっているルカ・モドリッチが負傷離脱を強いられているが(直近のCLパリSG戦ではベンチ入り)、代役になり得るマルコ・アセンシオ、イスコ、マテオ・コバチッチらが好調を維持し、遜色ないプレーを見せている。
 
 エイバルとの選手層の厚さの違いや実力差は明らかだが、この一戦でメンディリバル監督がいかなる対策を取り、乾にどんなタスクを与えるのか。注目したい。
 
文●中村 僚(Ryo Editor フリー編集者)
 
【著者プロフィール】
フリーランス編集者、ライター。編集プロダクション勤務後、2017年に独立。
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