川辺が見せた存在感とティーラシンの戦術理解力。馬渡は3戦3アシスト!
一方で指揮官は「つなぐことと裏を狙うこと。針がどちらかにふれすぎやすいものなのですが、そのバランスが良くなった」と手応えも口にする。その「バランス」をとる中心となったのが、川辺駿だった。
この試合はまさに川辺のゲーム。常に分かりやすいポジションをとり、足下でつないで保持率を上げながら裏へのスルーパス、ワンツーでの崩し、サイドチェンジも実に正確だ。守備でも激しいプレスを仕掛け、球際の強さを見せてボールも奪う。巨漢FWのジャジャとの球際バトルで勝利するなど、攻守両面に力強いプレーぶり。
もともと技術に定評はあったのだが、磐田で名波浩、中村俊輔という名手たちの薫陶を受けたことで知性がさらに磨かれた。秀逸なのはポジショニング。守備でも攻撃でも、どこに立てば相手が嫌なのかが感性として分かっている。周りもまず川辺を探し、預け、走るという感覚が整理されていた。その結果として、若き司令塔を中心に広島は決定機をいくつも創り出していた。そこを決めきれていれば、試合の様相もより広島優位に変わったはずである。
その「決める」という力は、ティーラシンが持っている。
「前日のトレーニングで出た課題をしっかりと修正してくれた。サイド攻撃の時、クロスの狙いについて映像を見せながら伝えたんです。そこを彼はすぐ、理解してくれました」(城福監督)
得点シーンは、パトリックがドリブルで運び、柴崎晃誠がサポート。左サイドバックの馬渡和彰のGKとDFの間を通すクロスにティーラシンがゲット。練習通りの形ではあるが、一瞬のスピードでわずかに裏をとり、なんなく決めて見せる。ストライカーとしての資質と能力の高さをコンマ何秒で表現。合流後、わずか3日でのこのゴールで、戦術的な理解力の高さも証明した。
時間が経過するごとにパフォーマンスが落ち、ミスが増えてくる様子を見ても、コンディションが上がりきっていないのが実状。身体にキレが出てくるのもこれからだろう。戦術的にもまだベーシックな段階で積み上げるべきことも数多い。2018年の広島を占うのはまだまだ早計だろう。
ただ、ティーラシンや川辺、そして3試合3アシストの馬渡和彰ら、新戦力が特長を発揮していることは大きなメリット。あとは宮崎キャンプでの仕上げである。時間が決してあるわけではないだけに、城福浩監督の手綱捌きに注目したい。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)
この試合はまさに川辺のゲーム。常に分かりやすいポジションをとり、足下でつないで保持率を上げながら裏へのスルーパス、ワンツーでの崩し、サイドチェンジも実に正確だ。守備でも激しいプレスを仕掛け、球際の強さを見せてボールも奪う。巨漢FWのジャジャとの球際バトルで勝利するなど、攻守両面に力強いプレーぶり。
もともと技術に定評はあったのだが、磐田で名波浩、中村俊輔という名手たちの薫陶を受けたことで知性がさらに磨かれた。秀逸なのはポジショニング。守備でも攻撃でも、どこに立てば相手が嫌なのかが感性として分かっている。周りもまず川辺を探し、預け、走るという感覚が整理されていた。その結果として、若き司令塔を中心に広島は決定機をいくつも創り出していた。そこを決めきれていれば、試合の様相もより広島優位に変わったはずである。
その「決める」という力は、ティーラシンが持っている。
「前日のトレーニングで出た課題をしっかりと修正してくれた。サイド攻撃の時、クロスの狙いについて映像を見せながら伝えたんです。そこを彼はすぐ、理解してくれました」(城福監督)
得点シーンは、パトリックがドリブルで運び、柴崎晃誠がサポート。左サイドバックの馬渡和彰のGKとDFの間を通すクロスにティーラシンがゲット。練習通りの形ではあるが、一瞬のスピードでわずかに裏をとり、なんなく決めて見せる。ストライカーとしての資質と能力の高さをコンマ何秒で表現。合流後、わずか3日でのこのゴールで、戦術的な理解力の高さも証明した。
時間が経過するごとにパフォーマンスが落ち、ミスが増えてくる様子を見ても、コンディションが上がりきっていないのが実状。身体にキレが出てくるのもこれからだろう。戦術的にもまだベーシックな段階で積み上げるべきことも数多い。2018年の広島を占うのはまだまだ早計だろう。
ただ、ティーラシンや川辺、そして3試合3アシストの馬渡和彰ら、新戦力が特長を発揮していることは大きなメリット。あとは宮崎キャンプでの仕上げである。時間が決してあるわけではないだけに、城福浩監督の手綱捌きに注目したい。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)