レバークーゼンの目論見を打ち砕いたスーパーボレー。
「何も失うものなどなかった。われわれは最高のシーズンを過ごし、今日、最高の日を迎えた。だから悔いのない戦いをしたかったんだ」
クラウス・トップメラー監督の言葉だ。配役が代わってもチームバランスが崩れることはなかった。R・マドリーの攻撃のハイライトである左サイドを封じ、ジダンに自由を与えない。中盤のフリーマンであるミヒャエル・バラックと切り込み隊長のイルディレイ・バストゥルクが、マケレレひとりで手薄になっていたR・マドリー守備網のど真ん中を急襲し、チャンスを創出していく。
好機到来と見たトップメラー監督は39分、高さのあるディミタール・ベルバトフをトップに投入し、オリバー・ノイビルを左へと回した。勝利へのシナリオは完璧に描かれていたのだ。
それをこっぱ微塵に打ち砕いたのが、ジダンのスーパーボレーだった。
先制点以降、さっぱり攻撃の形を作れなかったR・マドリーは、前半ロスタイム、初めてサンチャゴ・ソラーリとロベルト・カルロスの流麗なパス交換が成功し、左サイドを突破する。フワリと浮いたゆるやかなクロスの先には、エリア内のエアポケットにすっぽりとはまっていたジダンがいた。
かぶせるように丁寧にダイレクトでミートされたボールが、GKハンス・ヨルク・ブットのニアサイドを猛スピードですり抜けていく。今後、何十年も語り継がれるであろうスーパーゴールだ……。
ビセンテ・デル・ボスケ監督は言う。
「あのゴールがすべてだった。チームのメンタルを奮い立たせ、後半の戦い方に大きく影響した」
後半のR・マドリーは用意周到に豊富なカードを切りながら、レバークーゼンの攻撃をいなしていった。動きの悪いルイス・フィーゴに変えてスティーブ・マクマナマンを、トップギアでフル稼働していたマケレレのポジションにはフラビオ・コンセイソンを配置。対するレバークーゼンは、ウルフ・キルステンを投入して3トップに近い玉砕布陣を採ったが、これには左サイドのソラーリがボランチに入ることで中盤での守備に厚みを持たせた。
味気ない守備的アプローチ。ビッグネームたちが黙々とチームプレーに徹していた姿は、苦渋のシーズンの末に見出した最終系だったのかもしれない。終盤、あからさまな放り込みで猛襲を仕掛けてきたレバークーゼンに対し、R・マドリーはそれ以上の気迫と闘志で立ちはだかった。
「チームの結束と執念に感動すら覚えた。選手たちはプレッシャーに打ち勝ったんだ」(デル・ボスケ監督)
世界中から注目を集め、流転を続けてきた2001-01シーズン。創立100周年を迎えたクラブにとって、タイトル奪取は至上命令で、想像を絶するプレッシャーがのしかかっていた。ヨーロッパの“ラストデイ”。最後の最後で、R・マドリーは唯一にして最も渇望していたカップを、頭上に掲げた。
◆2002年5月15日・グラスゴー
レアル・マドリー
2-1
レバークーゼン
【得点者】
R=ラウール(9分)、ジダン(44分)
レ=ルッシオ(14分)
【R・マドリー】
GK:セサール(カシージャス)
DF:サルガド、イエロ、エルゲラ、ロベルト・カルロス
MF:マケレレ(フラビオ・コンセイソン)、フィーゴ(マクマナマン)、ソラーリ、ジダン
FW:ラウール、モリエンテス
【レバークーゼン】
GK:ブット
DF:セベシェン、ジブコビッチ、ルッシオ(バビッチ)、プラセンテ
MF:シュナイダー、ラメロウ、バラック、ブルダリッチ(ベルバトフ)、バストゥルク
FW:ノイビル
※週刊サッカーダイジェスト2002年6月5日号より
クラウス・トップメラー監督の言葉だ。配役が代わってもチームバランスが崩れることはなかった。R・マドリーの攻撃のハイライトである左サイドを封じ、ジダンに自由を与えない。中盤のフリーマンであるミヒャエル・バラックと切り込み隊長のイルディレイ・バストゥルクが、マケレレひとりで手薄になっていたR・マドリー守備網のど真ん中を急襲し、チャンスを創出していく。
好機到来と見たトップメラー監督は39分、高さのあるディミタール・ベルバトフをトップに投入し、オリバー・ノイビルを左へと回した。勝利へのシナリオは完璧に描かれていたのだ。
それをこっぱ微塵に打ち砕いたのが、ジダンのスーパーボレーだった。
先制点以降、さっぱり攻撃の形を作れなかったR・マドリーは、前半ロスタイム、初めてサンチャゴ・ソラーリとロベルト・カルロスの流麗なパス交換が成功し、左サイドを突破する。フワリと浮いたゆるやかなクロスの先には、エリア内のエアポケットにすっぽりとはまっていたジダンがいた。
かぶせるように丁寧にダイレクトでミートされたボールが、GKハンス・ヨルク・ブットのニアサイドを猛スピードですり抜けていく。今後、何十年も語り継がれるであろうスーパーゴールだ……。
ビセンテ・デル・ボスケ監督は言う。
「あのゴールがすべてだった。チームのメンタルを奮い立たせ、後半の戦い方に大きく影響した」
後半のR・マドリーは用意周到に豊富なカードを切りながら、レバークーゼンの攻撃をいなしていった。動きの悪いルイス・フィーゴに変えてスティーブ・マクマナマンを、トップギアでフル稼働していたマケレレのポジションにはフラビオ・コンセイソンを配置。対するレバークーゼンは、ウルフ・キルステンを投入して3トップに近い玉砕布陣を採ったが、これには左サイドのソラーリがボランチに入ることで中盤での守備に厚みを持たせた。
味気ない守備的アプローチ。ビッグネームたちが黙々とチームプレーに徹していた姿は、苦渋のシーズンの末に見出した最終系だったのかもしれない。終盤、あからさまな放り込みで猛襲を仕掛けてきたレバークーゼンに対し、R・マドリーはそれ以上の気迫と闘志で立ちはだかった。
「チームの結束と執念に感動すら覚えた。選手たちはプレッシャーに打ち勝ったんだ」(デル・ボスケ監督)
世界中から注目を集め、流転を続けてきた2001-01シーズン。創立100周年を迎えたクラブにとって、タイトル奪取は至上命令で、想像を絶するプレッシャーがのしかかっていた。ヨーロッパの“ラストデイ”。最後の最後で、R・マドリーは唯一にして最も渇望していたカップを、頭上に掲げた。
◆2002年5月15日・グラスゴー
レアル・マドリー
2-1
レバークーゼン
【得点者】
R=ラウール(9分)、ジダン(44分)
レ=ルッシオ(14分)
【R・マドリー】
GK:セサール(カシージャス)
DF:サルガド、イエロ、エルゲラ、ロベルト・カルロス
MF:マケレレ(フラビオ・コンセイソン)、フィーゴ(マクマナマン)、ソラーリ、ジダン
FW:ラウール、モリエンテス
【レバークーゼン】
GK:ブット
DF:セベシェン、ジブコビッチ、ルッシオ(バビッチ)、プラセンテ
MF:シュナイダー、ラメロウ、バラック、ブルダリッチ(ベルバトフ)、バストゥルク
FW:ノイビル
※週刊サッカーダイジェスト2002年6月5日号より