そんな彼らの出来に関し、試合後にロティ―ナ監督は満足感を示した。しかし、その一方で序列を決めていないことを明かした。その理由は、現状で取り組んでいるのが個人戦術ではなく、「直也、昇吾、祐介、ナラ（奈良輪）には具体的に指示を出していない」と言うようにチーム戦術のベースを落とし込んでいる最中だからだ。
 
　それでも、このトレーニングマッチで可能性を示した選手もいる。新加入組の奈良輪だ。昨季の湘南で曺貴裁監督に重宝された男は、自慢の運動量と走力で存在感を見せただけでなく、勇猛果敢な仕掛けで攻撃に違いをもたらした。「ゲームをやらないと分からないこともある」と本人が言うように本人は探りながらのプレーだったが、「新しい経験でもあるし、楽しみながらやれました」と今季初実戦で充実した表情を見せた。また、左右両方で安定感のあるプレーを見せた点もポジティブな要素。“Wアンザイ”を左右関係なく起用してきたロティ―ナ監督に、使い勝手のいいところを見せたのは、大きなアピールになったと言える。
 
　現時点でポジション争いは横一線。29日からの沖縄キャンプで彼らがどのようなアピールを見せるのかで序列は決まる。サイドを務める４名はそれぞれ異なる特徴を持った選手であり、状況に応じて使い分ける可能性もあるが、開幕戦に名を連ねられるかどうかは沖縄でのパフォーマンス次第となりそうだ。

取材・文●松尾祐希（サッカーダイジェストWeb編集部）