起き上がれないまま転がり続けたケルン…
2位につけているシャルケのドミニコ・テデスコ監督も、良い仕事をしている。開幕時、チームのシンボルだったベネディクト・ヘーベデスをキャプテンから外し、クラース=ヤン・フンテラール、内田篤人といった、かつての栄光を知る世代を“切った”ことで、ファンの強い反感を買った。
だが、自分の信念を曲げず、選手と向き合い、チームを熟成させた。3バック導入による守備の安定、守備陣のビルドアップからのチャンスメイク、マックス・マイアーのボランチへのコンバート、レオン・ゴレツカの覚醒など、様々な要素がポジティブに絡み合い、好成績へと結び付いている。
13節、ドルトムントとの「レヴィア・ダービー」で0-4から同点に追い付いたことに象徴されるように、自分たちの力を全て出し切る下地がようやくついてきた。
逆に、全ての要素がネガティブに絡み合い、起き上がることができないまま転がり続けてしまったのが、最下位のケルンだ。
得点源だったアントニー・モデステの移籍(→天津権健)によって空いた穴は大きく、マインツから補強したジョン・コルドバはハマらず、大迫勇也はひとりで状況を打開できず。ミスへの不安から判断が遅れ、不用意なミスから軽率な失点を繰り返した。怪我人が続出し、PKをめぐって判定に泣くという不運もあった。
4年間、チームを支え続けたペーター・シュテーガー監督と決別する決断も、あるいは降格となろうとも共に歩むという覚悟もできないまま、ずるずると負け続けてしまった。
それでも、前半戦の最終節でヴォルフスブルクに1-0で初勝利を挙げたことにより、少なからず希望を持つことはできた。2部リーグ3位との入れ替え戦に出場する16位までの勝点差は9。難しいが、決して不可能な数字ではない。
CL、EL出場権、そして残留争いと、まだまだ行方の見えない戦いが続く。各クラブはこの冬の準備期間で、どのように調整、修正、補強を施すことができるだろうか。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
だが、自分の信念を曲げず、選手と向き合い、チームを熟成させた。3バック導入による守備の安定、守備陣のビルドアップからのチャンスメイク、マックス・マイアーのボランチへのコンバート、レオン・ゴレツカの覚醒など、様々な要素がポジティブに絡み合い、好成績へと結び付いている。
13節、ドルトムントとの「レヴィア・ダービー」で0-4から同点に追い付いたことに象徴されるように、自分たちの力を全て出し切る下地がようやくついてきた。
逆に、全ての要素がネガティブに絡み合い、起き上がることができないまま転がり続けてしまったのが、最下位のケルンだ。
得点源だったアントニー・モデステの移籍(→天津権健)によって空いた穴は大きく、マインツから補強したジョン・コルドバはハマらず、大迫勇也はひとりで状況を打開できず。ミスへの不安から判断が遅れ、不用意なミスから軽率な失点を繰り返した。怪我人が続出し、PKをめぐって判定に泣くという不運もあった。
4年間、チームを支え続けたペーター・シュテーガー監督と決別する決断も、あるいは降格となろうとも共に歩むという覚悟もできないまま、ずるずると負け続けてしまった。
それでも、前半戦の最終節でヴォルフスブルクに1-0で初勝利を挙げたことにより、少なからず希望を持つことはできた。2部リーグ3位との入れ替え戦に出場する16位までの勝点差は9。難しいが、決して不可能な数字ではない。
CL、EL出場権、そして残留争いと、まだまだ行方の見えない戦いが続く。各クラブはこの冬の準備期間で、どのように調整、修正、補強を施すことができるだろうか。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。