【現地発】恩人との悲しき決別を経て…ケルンが踏み出した、奇跡の残留に向けての一歩

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年12月08日

「前を見ていかないといけない」(ポドルスキ)

2014年6月にケルンに加入した大迫。ここからの3年半で、シュテーガー監督から多くのことを学びながら成長を遂げていった。今後、チームの主軸として浮上にどれだけの貢献を果たせるか。 (C) Getty Images

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 最後の試合となったブンデスリーガ第14節のシャルケ戦後、シュテーガーはファンに対し、帽子を取って挨拶し、これまでのサポートを感謝した。そして、シュテーガーの下で成長した選手たちは、恩師との別れに涙した。
 
「こうしたことは、私がケルンにいた頃にもあった。残念なことだが、それでも続いていくし、前を見ていかないといけないんだ」
 
 ポドルスキはそう言葉にした。だが、前を向いて次に続けていくためには、その前にしっかりとした総括がなければならない。
 
 空席だったスポーツディレクターには、アルミン・フェーが就いた。次期監督についても、近いうちに決断が下されることだろう(ウインターブレイクまではU-19チームを率いていたシュテファン・ルーテンベックが暫定で指揮)。
 
 もし2部降格となった場合でも、新しいスタートに意欲を持てる監督が求められているという。その条件に合う監督として、ビルト紙では、ウニオン・ベルリンを解任されたばかりのイェンス・ケラーの可能性が言及されたが、実際にどうなるかは、発表されるまで分からない。
 
 このような現在、大事なのは、選手の頭のなかが整理されているかどうかだろう。大迫勇也はシャルケ戦後、このようなことを口にしていた。
 
「今日は、チームとして踏ん張ることができた(追い付いての2-2)。そこは凄いプラスだと思うし、次に繋がるんじゃないかと思う」
 
 視線は次に向けられている。リーグ戦、残り試合はあと20しかないと思うのか。まだ20試合もあると思えるのか。一気に残留圏に浮上することなどできない。やれることを、ひとつずつやっていくしかない。その決意がチームとしてひとつにまとまった時、浮上へのきっかけが見つかるはずだ。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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