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【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|サポーターが起こす拍手とスタジアムを包む一体感

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年12月01日

ゴール以外の部分でも一体感が生まれている。

バックパスを使いながらでも逆サイドに展開して、そこから一気に攻撃がスピードアップした瞬間に拍手が聞こえるようになった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 今までならば起こらなかったタイミングで拍手が聞こえるようになった。例えば(関)憲太郎がシャドーに入った選手に正確なフィードを通した時。あるいはバックパスを使いながらでも逆サイドに展開して、そこから一気に攻撃がスピードアップした瞬間。
 
 これまでは憲太郎がボールを持ったり、バックパスを選択した際にザワつくような雰囲気だった。それを現在では、サポーターがグッと堪えて、しっかりとプレーの行方を確認したうえで「オーッ!」と拍手が起きるようになった。この変化は喜ばしい。
 
 自分たちが取り組んでいるサッカーをファン・サポーターも理解してくれているんだな、と。サッカーの最大の醍醐味はゴールなのだが、それ以外の部分で一体感が生まれているのは格別だ。それもサッカーの本質の一部だと考えており、スタジアム全体で共有できているのは、嬉しくて仕方がない。
 
 以前、カンプノウでバルセロナの試合を観戦した。バックパスを使いながら、GKまでビルドアップに参加して相手のプレッシャーをポンポンポンと回避する。すると、観客全員が立ち上がって拍手をする。
 
 相手のプレッシャーをいなすことを評価して、良いプレーに賛辞を贈る。その時、「こういうところまで選手とサポーターが同じ感覚でいられるのか」と、素直に「凄い!」と感心してしまった。
 
 それがユアスタでもできつつある。だからこそ、ホーム最終戦は勝ち切って、みんなで勝利を分かち合って終わりたかった。
 
 仙台の関係者以外からも「ベガルタのサッカーは見ていて楽しい」と言ってもらえる機会が増えてきた実感がある。何より選手が楽しんでプレーできている。だからこそ、見ている人たちに伝わる。そして拍手が起こる。そして選手はさらに気持ちを乗せて戦える。
 
 勝ち負けにこだわることは大切だ。ただ、サッカーの本質的な部分を表現できているという自負も持っている。それを発信し続けて、多くの人に共感してもらいたい。両立を目指すことは言うまでもないが……。
 
 次節で今季も終了する。残留争いの渦中にいる甲府との対戦というのは、個人的には複雑だ。自身の現役時代にお世話になったクラブ。札幌をクビになって、いの一番に拾ってくれた恩義もある。でも、勝負事だ。仙台のサッカーを精一杯表現することこそが恩返しだと考えているので、心を鬼にして勝利を目指したい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は12月2日に行なわれる34節・甲府戦の予定。お楽しみに!
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