しかしながら、10年ぶりのコパ・リベルタドーレス制覇を狙うボカにとって、テベスの再復帰は、もはや至上命題だとも言える。
 
　ダニエル・アンジェリッシ会長は、「私はテベスを復帰させたいと思っている」と、同選手が中国移籍をして間もない今年４月の段階から公言。アルゼンチン紙『Ole』によれば今月、同会長自ら上海へと赴き、テベス、ルオッコ代理人と再復帰に向けた話し合いを行なったという。
 
　現在、スーペルリーガ・アルゼンチン（国内リーグ）で首位に立つボカだが、11月19日のラシン戦でダリオ・ベネデットが右膝前十字靭帯を断裂して全治半年の大怪我を負ったため、エースポジションの穴埋めが急務となっている。
 
　ベネデットが離脱したラシン戦で、ボカの国内リーグの連勝は「８」でストップ。11月26日のロサリオ・セントラル戦では今シーズン初の連敗を喫するなど、停滞ムードが漂っている。
 
　そうした険悪な雰囲気を払拭する起爆剤とするためにも、クラブとしてはボケンセ（熱烈なボカ・ファン）の信望も厚いテベスを復帰させたいところだろう。
 
　選手間でも待望論が湧き上がっている。ボカのベテランMFパブロ・ぺレスは、「カルリートス（テベスの愛称）には戻って来てもらいたい。それは僕らのためだけじゃなく、ファンやクラブの印象を良くするためにもね」と、アルゼンチン紙『La Nacion』で、その心境を明かしている。
 
　一方でテベスは、「子どものために病院へ一緒に行くこともできない。僕は普通の生活を送りたい」と、人々の目に晒される母国での生活苦も口にしており、引退という選択も頭の片隅に入れているかもしれない。
 
　はたして、古巣と相思相愛のテベスは、ボカへの帰還を果たすのか？ はたまた、電撃引退という決断を下すか――。答えは二つに一つだ。