【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|セカンドボール奪取率を上げる真上からの視点

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年11月24日

ドローン導入が戦術浸透の一助となっている。

セカンドボール奪取だけでなく、攻撃面でもドローン導入の効果は十分に発揮されている。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月27日の練習で初めてドローンを導入しており、それからは紅白戦やトレーニングマッチで定期的に飛ばして映像を撮影している。とにかく新鮮で刺激的だ。まず、ご好意で協力してくれている方々に御礼を申し上げたい。
 
 我々には「レーン」と呼んでいるスペースがある。ピッチを縦に区切って考えているのだが、その幅や距離感が真上からの映像ならばより分かりやすい。ここを走れば相手がどれくらい食い付き、最終的にどこが空くのかも一目瞭然だった。
 
 それは「セカンドボールがどこに落ちる確率が高いか」という予測も同様。相手ゴールに対する前向きなセカンドボール奪取も、仕込みと共通の狙いがあるからこそで、偶然ではない。それは自陣ゴール方向に戻りながら対処する場合も同じだ。
 
 例えば前線からプレスを掛けた場合、相手が苦し紛れにロングボールを放り込んでくる時がある。実はその瞬間、最終ラインと相手攻撃陣が数的同数になっていることも少なくない。でも選手たちの実感として「数的同数」をそこまで認識していない場合もある。
 
 だが、ドローンの映像を見せると、かなり分かりやすく「数的同数のシーンはこれくらいあるのか」と理解できる。理解すれば、ボールが自分の頭を越えている間にスプリントして戻る意識が生まれる。サボりがちだったものが、劇的に変化する。
 
 大宮戦に関しては、1週間前に行なった仙台大との練習試合をドローンで撮影して、その映像を本番2日前に選手たちにフィードバックした。前半の2点目について話すが、コバショー(古林将太)はフリーでクロスを上げた。その前に(西村)拓真が良いポジションを取ってくれたわけだが、それもドローンの映像が攻守に活きていたシーンのひとつだと思う。
 
 今後、本格的にドローンを導入するクラブが出てくるだろう。雨が降ったら飛べないのが玉に瑕だが(笑)。でも、映像は新鮮で興味深く、やる価値は十分にある。最初、操縦者から「結構音はうるさいですよ」なんて言われたが、音を気にしてたら試合なんてできない。
 
 実際のゲームではチャントもあれば、ともすれば野次だって飛んでくる。ドローンの音くらいで集中力を切らしていてはプロではない。だからこそ「気にせず飛ばしてください」と逆にお願いしたくらいだ。
 
 残り2試合、あらゆる力を結集させて良い形でシーズンを締め括りたいと思っている。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は11月26日に行なわれる33節・横浜戦の予定。お楽しみに!
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