地に堕ちるか、あるいは一発逆転か
ローマ戦の後、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長はクラレンス・セードルフ監督と会談を行なった際、「なぜ、負傷明けでコンディションの上がっていない本田を先発から使ったのか」「攻守両面のバランスを取るには、アンドレア・ポーリが適任だったのではないか」と詰問したという。このこともあり、地元紙のなかには「セードルフは折れて、次の試合から4−3−1−2に変更。3ボランチの一角にボーリが入り、本田が外れる」と報道しているところもある。
ミラノダービーを前にしたこの一週間、地元の報道は、試合のことよりも監督の去就問題に集中している。セードルフの選手起用や練習の進め方に対する不満を、選手がフロントに漏らしていることは噂となっていたが、こうしてガッリアーニが動いたということは、相当のプレッシャーがセードルフにかけられたということである。それでも指揮官が自らの意志を曲げず、ローマ戦同様に本田を右で使うとしたら、それは本田自身も正念場を迎えることを意味する。もしミラノダービーで結果を残せなければ、セードルフだけでなく、本田の評価までが地に堕ちることになるだろう。
今のインテルはサイド攻撃がストロングポイントである。本田が右サイドにつけば、守備の仕事は多くなるだろう。逆に攻める場合、「圭佑は同じ志を持って戦ってきた仲間であり、ライバル。負けたくはない」と気合いを入れる左SBの長友佑都が張り付いてくるのは間違いない。かといって中に絞っても、インテルの組織守備はタイトであり、フリーになるのは大変だ。
しかし困難であるがゆえに、もし本田がそこを崩してゴールにつなげる貢献ができたれば、自らの境遇はもちろん、チームの雰囲気をも劇的に変えてしまうかもしれない。条件は厳しいが、たとえ先発でも途中出場であっても、本田の一発逆転の活躍に期待したい。
文:神尾光臣
――◆――◆――
2014年1月、本田圭佑が新たなチャレンジを開始した。CSKAモスクワから、世界屈指の超名門クラブ、ACミランへ――。
「心の中の『リトル本田』に聞いた」との名言とともに、名門クラブの背番号10番を背負った本田。そのロッソネーロ(ミランの愛称で赤と黒の意)の日々を、現地在住のライター、神尾光臣氏が追う。
ミラノダービーを前にしたこの一週間、地元の報道は、試合のことよりも監督の去就問題に集中している。セードルフの選手起用や練習の進め方に対する不満を、選手がフロントに漏らしていることは噂となっていたが、こうしてガッリアーニが動いたということは、相当のプレッシャーがセードルフにかけられたということである。それでも指揮官が自らの意志を曲げず、ローマ戦同様に本田を右で使うとしたら、それは本田自身も正念場を迎えることを意味する。もしミラノダービーで結果を残せなければ、セードルフだけでなく、本田の評価までが地に堕ちることになるだろう。
今のインテルはサイド攻撃がストロングポイントである。本田が右サイドにつけば、守備の仕事は多くなるだろう。逆に攻める場合、「圭佑は同じ志を持って戦ってきた仲間であり、ライバル。負けたくはない」と気合いを入れる左SBの長友佑都が張り付いてくるのは間違いない。かといって中に絞っても、インテルの組織守備はタイトであり、フリーになるのは大変だ。
しかし困難であるがゆえに、もし本田がそこを崩してゴールにつなげる貢献ができたれば、自らの境遇はもちろん、チームの雰囲気をも劇的に変えてしまうかもしれない。条件は厳しいが、たとえ先発でも途中出場であっても、本田の一発逆転の活躍に期待したい。
文:神尾光臣
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2014年1月、本田圭佑が新たなチャレンジを開始した。CSKAモスクワから、世界屈指の超名門クラブ、ACミランへ――。
「心の中の『リトル本田』に聞いた」との名言とともに、名門クラブの背番号10番を背負った本田。そのロッソネーロ(ミランの愛称で赤と黒の意)の日々を、現地在住のライター、神尾光臣氏が追う。