英サッカー専門誌の熟練記者が斬るルヴァン杯決勝「世界的に見ても特異なカップ戦だ」

カテゴリ:Jリーグ

マイケル・プラストウ

2017年11月05日

あのスピリットがあるかぎり、フロンターレは強豪であり続ける

川崎は精神的支柱の中村(写真)を中心に激しく攻め立てたが、ほぼビッグチャンスは掴めず。開始早々の失点が重く圧し掛かった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 余計な慰めに聞こえるかもしれないが、思い悩む必要などないとわたしは思う。フットボールのゲームの結果とは、1試合、1試合の展開次第で変わるし、勝利するための確実な方法や法則などはない。フロンターレは強い。これが揺るぎない事実。メンタル面の弱さも感じないし、闘争心や勝利への渇望が欠けていたとも思わない。選手たちは全力を尽くしただろう。結果が出ない時もある。理由を探す必要などないのだ。
 
 9月のJ1リーグで、フロンターレはセレッソを5-1で下した。一番のポイントはここにある。つまりはゲーム展開。フロンターレの長所がもっとも発揮されるのはカウンター攻撃だと考えるが、この日の埼玉スタジアムでは開始早々に失点したため、ゲームはあっという間に難しくなった。逆にセレッソにとっては、願ってもない展開になったというわけだ。
 
 中村憲剛のスルーパス、三好康児のドリブル、小林悠のバイシクルキックはいずれも素晴らしかった。それでも、攻撃は同じパターンの繰り返しが多くなり、ビッグチャンスはほぼ作れないままだった。あれだけの守備をされたら、そう簡単には崩せない。普段の力を出し切れなかったのが敗因と言ってしまえば簡単だが、彼らは十二分に敢然と立ち向かったと思う。本当に紙一重の一戦だったのだ。
 
 あのチームスピリットがあるかぎり、フロンターレは強豪であり続けるだろう。初タイトルもそう遠くはないと、わたしは信じている。
 
取材・文:マイケル・プラストウ(ワールドサッカー誌)

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著者プロフィール
マイケル・プラストウ/1959年、英国のサセックス州出身。80年に初来日し、91年からは英国の老舗サッカー専門誌『ワールドサッカー』の日本担当となり、現在に至る。日本代表やJリーグのみならず、アジアカップやACLも精力的に取材し、アジアを幅広くカバー。常に第一線で活躍してきた名物記者だ。ケンブリッジ大学卒。
 
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