川口能活、42歳。「やられるなら、自分らしく」。等身大の姿でゴールを守る日々

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年10月13日

「いくつになっても、自分のスタイルを貫きたい」

広いエリアを守り、果敢に前に出るプレースタイルを変えるつもりはない。「期待に応えられるように頑張りたい」と、チームの勝利のためにさらなる活躍を誓う。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 今年8月で42歳を迎えた。まだまだ現役を続けるつもりでいるし、失点すれば、“夜も眠れない”ほど悔しがる。気持ちは若い時のままだ。
 
 ともすれば、20代の頃のような躍動感は出せないかもしれない。だからといって、「省エネでやるより、自分らしくプレーしたい」と言葉に力をこめる。
 
 前に出ないでステイする、あるいは、プレーエリアを狭めて、DFに任せる部分を増やす。それは自分の流儀に反する。あくまでも自分のスタイルにこだわる。
 
「あのシーン(2失点目)も、コースは完全に読んでいたけど、一瞬だけ遅れて、やられてしまった。ただ、何試合か重ねていけば、防げるようになる。試合に負けたことは納得できませんが、前向きにはなれました」
 
 いくつもの成功体験がある。過去を振り返れば、似たような場面で、後ろで我慢せずに、思い切って前に寄せて、コースを限定し、キャッチする時もあれば、胸でも顔面でも、身体のどこかに当ててゴールを守ってきた。
 
「いくつになっても、自分のスタイルを貫きたい。やられるなら、自分らしく」
 
 近年は複数の怪我に悩まされて、理想とするプレーをなかなか表現できず、苦しい時期が続いた。ただ、信頼できる「治療家」との出会いで、身体の状態は改善されつつあり、メンタルも充実してきている。
 
「なんとか、ここから這い上がっていけるように。チャレンジしたいですね」
 
 引退の二文字が頭をよぎらないわけではないが、今は階段を駆け上っている実感がある。良くなっていく兆しがはっきりと見えている。「だから、やめられないんですよね」と、人懐っこい笑顔を浮かべる。
 
 続くホーム・琉球戦も、スタメンを勝ち取った。チームは今季初となる1試合・4得点と攻撃陣が爆発。終盤に2失点したのは余計だったが、試合後には、チームメイトとハイタッチして久々の勝利を喜ぶ川口の姿があった。
 
 シーズンは残り少なくなったが、最後に、今後に向けた意気込みを訊いた。
 
「自分がこのタイミングで起用されたのには、何かしら理由があるはず。期待に応えられるように頑張りたい。
 
 チームの成績はあまり良くないですが、後ろから鼓舞できるように。こういう時こそ、ベテランの力でなんとかしたいですね。言葉で何かを伝えることもありますが、僕はベテランというのは、“醸し出す”ものだと思っているんです。その雰囲気だけで、チームを落ち着かせられるように、と。
 
 でも、プレーはいつまでも若々しく、アグレッシブに。プレーまで老け込んじゃうと、本当に存在感すらなくなっちゃうので(笑)」
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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