そもそも、この代表候補合宿が本当に重要なものだとしたら、メンバー発表の際、ザッケローニ監督がしっかりと会見を開き、その狙いを発表すべきだよね。逆に、マスコミが「開くべきだ」となぜ迫らなかったのかも理解ができない。「この合宿のテーマはなにか」「なぜ、この時期にこの合宿を行なうのか」と、もっと追及すべきだった。

　肝心の内容についても、なんとも言えない。代表チームの戦術をわずか３日間の合宿で理解し、体現するなんて無理だからだ。

　合宿の最終日の練習試合では、川又と南野がゴールを奪い、アピールに成功なんていう記事が目立ったけど、大学生から奪ったゴールにそれほど価値があるとは思えない。それに、相手は大学生なんだから、攻撃陣が目立つのは当然の話だよ。

　もし「守備陣が身体を張って奮闘し、好アピール」なんて記事があったら、それこそ問題だ。大学生に攻められまくったということになるんだからね。

　もしかすると今回の合宿の最大の効果は、これから１か月のJリーグの注目度が増し、取り上げられる機会が増えることかもしれない。マスコミも試合のたびに「○○が猛アピール」「○○、アピールならず」といった記事を書くだろう。そう考えると、この合宿はJリーグを盛り上げるために行なわれたんじゃないかという気もしてくる。

　あるいは、ザッケローニ監督がブラジル・ワールドカップの後も引き続き日本代表の指揮を執ることを想定しているのか……。

　候補選手はまだ55人もいるという。これはもう５月12日のメンバー発表会見を待ってみないことにはなにも分からない。サプライズがあってもおかしくないし、蓋を開けてみたら、今までと同じメンバーだったということも十分あり得る。

　ここに来て、本田や今野まで負傷してしまった。僕には狙いや効果は分からなかったけど、ザッケローニ監督にとってはこの合宿が有意義だったことを願うばかりだ。