ドイツ代表をも活性化させるであろう発展途上の才能

常にゴールを意識し、的確な位置取りとゴール前での素早い動きから、あらゆるかたちで得点を奪える。ドルトムントが開幕からゴールラッシュを見せているのは、この23歳のアタッカーによるところが大きい。 (C) Getty Images
その後、エネルギー・コットブス、フライブルクのU-19チームを渡り歩いたフィリップは、技術の高さを認められながらも、まだ肉体的に華奢で、精神的にも大人しい青年だった。
それが、U-23チームで心身ともに鍛えられ、少しずつ逞しさを増していく。そして2014年4月5日のシュツットガルト戦、フィリップはついにプロデビューを飾った。
フライブルクの監督、クリスティアン・シュトライヒは、その才能を認め、3年間、継続的に起用。フィリップはその期待に応え、欠かすことのできない主力選手へと成長し、3シーズンで88試合出場・18得点23アシストの成績を残した。
昨シーズンは25試合に出場して9得点3アシストの活躍を見せ、フライブルクを7位へ押し上げている。
フィリップの最大の魅力は、そのキック精度の高さ。難しいセンタリングでも正確にボールを捉え、角度のないところからでもゴールマウスを射抜く。ドルトムントのミヒャエル・ツォルクSDは、「シュートの正確性に関してはマルコ・ロイスのようだ。うちのチームでもベストのひとり」と絶賛している。
ボールを持った時の懐が深いのも特徴だ。リズムが独特で、相手守備に飛び込ませる間を与えないのも面白い。狭いスペースでもバランスを崩さずに抜け出し、シュートまで持ち込む動きは一見の価値がある。
まだまだ独りよがりなプレーが多く、粗削りであるのは改善点だが、見ていてとてもワクワクさせられる選手だ。
ドイツ・サッカーのレジェンドで、元バイエルンSDのマティアス・ザマーも、「遅かれ早かれ、ドイツ代表に入ってくる選手だ」と、フィリップの今後の活躍に太鼓判を押している。
またひとり、ドイツ代表のポジション争いをさらに激化させる選手が登場してきた。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
それが、U-23チームで心身ともに鍛えられ、少しずつ逞しさを増していく。そして2014年4月5日のシュツットガルト戦、フィリップはついにプロデビューを飾った。
フライブルクの監督、クリスティアン・シュトライヒは、その才能を認め、3年間、継続的に起用。フィリップはその期待に応え、欠かすことのできない主力選手へと成長し、3シーズンで88試合出場・18得点23アシストの成績を残した。
昨シーズンは25試合に出場して9得点3アシストの活躍を見せ、フライブルクを7位へ押し上げている。
フィリップの最大の魅力は、そのキック精度の高さ。難しいセンタリングでも正確にボールを捉え、角度のないところからでもゴールマウスを射抜く。ドルトムントのミヒャエル・ツォルクSDは、「シュートの正確性に関してはマルコ・ロイスのようだ。うちのチームでもベストのひとり」と絶賛している。
ボールを持った時の懐が深いのも特徴だ。リズムが独特で、相手守備に飛び込ませる間を与えないのも面白い。狭いスペースでもバランスを崩さずに抜け出し、シュートまで持ち込む動きは一見の価値がある。
まだまだ独りよがりなプレーが多く、粗削りであるのは改善点だが、見ていてとてもワクワクさせられる選手だ。
ドイツ・サッカーのレジェンドで、元バイエルンSDのマティアス・ザマーも、「遅かれ早かれ、ドイツ代表に入ってくる選手だ」と、フィリップの今後の活躍に太鼓判を押している。
またひとり、ドイツ代表のポジション争いをさらに激化させる選手が登場してきた。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。