【現地コラム】マネの“カンフーキック”一発退場は妥当か? 英国内でも賛否両論の嵐

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年09月11日

マンC戦の敗因はマネの退場が原因ではなく…。

リネカー(左上)、アンリ(右上)、シアラー(左下)、キャラガー(右下)といったイングランドで長く活躍した歴戦の猛者たちは、マネのプレーについてその意見が分かれている。 (C) Getty Images

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 とはいえ、元リバプールのCBジェイミー・キャラガーのように、「ボールだけしか見ていなかったとしても、危険な行為に変わりはない」という識者の意見ももっともだ。切り傷だけで済んだとはいえ、エデルソンが顔から血を流して担架で運ばれる映像を伴えば、さらに説得力を増す。
 
 マネに対するレッドの是非は、どれだけ論じても決着はつきそうにない。現役時代と変わらずクールなティエリ・アンリが、「不運な五分五分の競り合い」と表現していた通り、ペナルティーエリアから飛び出してきたGKの前で、ボールを足先に掛けてゴールを狙おうとしたFWのプレーは、白黒がつけ難いグレーな世界だ。
 
 事実、翌日のスウォンジー対ニューカッスル(0-1)では、ニューカッスルのウインガーのマット・リッチーが相手CBの顔付近まで足を上げて接触(実際には肩)したが、まるでリプレーを観ているようなこの場面では、イエローで済まされている。
 
 但し、マネの退場は大敗のきっかけではあっても、リバプールの直接的な敗因ではなかったことだけは明白だ。
 
 4バックが国内紙で平均4点程度の低評価を受けた守備陣は、10人になる10分以上前の24分にケビン・デ・ブルイネに先制点をアシストされた頃から、相手に易々と切り裂かれていた。18歳の俊英SBトレント・アレキサンダー=アーノルドは、手前のセンターハーフにも、隣のCBにもサポートされていなかった……。
 
 今シーズンのリバプールが、28年ぶりのリーグタイトルを獲るつもりであれば、意識の薄さなどによる守備の弱さが招く極度の不安定さから、一刻も早く“脱出”する必要があるだろう。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。

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