【識者コラム】本田圭佑が選んだ“メキシコ”は日本人選手の新たな選択肢となり得るか?

カテゴリ:特集

清水英斗

2017年09月08日

「質の高い競争に身を置けるメリット」

メキシコリーグデビュー戦で初ゴールを飾った本田圭佑。(C)Getty Images

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 また、メキシコの大半のクラブは資金が潤沢で、選手のサラリーも総じて高い。報道によれば、本田の年俸は4億円を超えると言われている。それでいて、中国や中東など年金リーグと揶揄される国に比べれば、サッカーのレベルははるかに上なのだ。
 
 だから、本田がパチューカでスタメンの座を得られる保証はまったくないが、質の高い競争に身を置けるのは、間違いなくプラスだろう。来年のロシア・ワールドカップを見据えて、実に面白いチョイスをした。
 
 一方で、本田のこれまでのクラブの選択には、〝リーグの強豪〞という共通項がある。欧州での最初のクラブとなったVVVフェンロは別にして、その後のCSKAモスクワ、ACミランは――後者は低迷期が長いが――、いずれも強豪クラブだ。今回、彼が新天地に選んだパチューカも、メキシコきっての強豪である。
 
 その国のリーグにおけるビッグクラブを選択すること。それは格という意味だけではなく、プレーの相性を考えても重要なポイントだ。
 
 本田は単独で個性を発揮するタイプではない。周りとの連係やインテリジェンスを生かしながら、〝チームに利くプレー〞をする。そういう選手だから、上質なアタッカーを揃えた攻撃的なビッグクラブのほうが、都合がいいのだ。
 
 逆に残留を最大の目標に掲げる下位クラブの場合、まずは失点を減らすことを考え、攻撃に関しては〝パワーモンスター〞や〝スピードモンスター〞頼みになりがちだ。つまり、 独力で攻撃を完結させられるアタッカーが重宝されるわけだが、そうした能力は本田にはないし、また、そういったチームの中盤に入ると仕事が単純化され、彼の良さが出ない。
 
 今回、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの下位クラブからもオファーがあったと報道されているが、それを蹴ってメキシコの強豪を選んだのは、本田が自分自身を知っているがゆえではないだろうか。

文:清水英斗(サッカーライター)
 
※『サッカーダイジェスト』8月10日号(7月27日発売)「THE JUDGE」より抜粋
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