「質の高い競争に身を置けるメリット」
また、メキシコの大半のクラブは資金が潤沢で、選手のサラリーも総じて高い。報道によれば、本田の年俸は4億円を超えると言われている。それでいて、中国や中東など年金リーグと揶揄される国に比べれば、サッカーのレベルははるかに上なのだ。
だから、本田がパチューカでスタメンの座を得られる保証はまったくないが、質の高い競争に身を置けるのは、間違いなくプラスだろう。来年のロシア・ワールドカップを見据えて、実に面白いチョイスをした。
一方で、本田のこれまでのクラブの選択には、〝リーグの強豪〞という共通項がある。欧州での最初のクラブとなったVVVフェンロは別にして、その後のCSKAモスクワ、ACミランは――後者は低迷期が長いが――、いずれも強豪クラブだ。今回、彼が新天地に選んだパチューカも、メキシコきっての強豪である。
その国のリーグにおけるビッグクラブを選択すること。それは格という意味だけではなく、プレーの相性を考えても重要なポイントだ。
本田は単独で個性を発揮するタイプではない。周りとの連係やインテリジェンスを生かしながら、〝チームに利くプレー〞をする。そういう選手だから、上質なアタッカーを揃えた攻撃的なビッグクラブのほうが、都合がいいのだ。
逆に残留を最大の目標に掲げる下位クラブの場合、まずは失点を減らすことを考え、攻撃に関しては〝パワーモンスター〞や〝スピードモンスター〞頼みになりがちだ。つまり、 独力で攻撃を完結させられるアタッカーが重宝されるわけだが、そうした能力は本田にはないし、また、そういったチームの中盤に入ると仕事が単純化され、彼の良さが出ない。
今回、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの下位クラブからもオファーがあったと報道されているが、それを蹴ってメキシコの強豪を選んだのは、本田が自分自身を知っているがゆえではないだろうか。
文:清水英斗(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』8月10日号(7月27日発売)「THE JUDGE」より抜粋
だから、本田がパチューカでスタメンの座を得られる保証はまったくないが、質の高い競争に身を置けるのは、間違いなくプラスだろう。来年のロシア・ワールドカップを見据えて、実に面白いチョイスをした。
一方で、本田のこれまでのクラブの選択には、〝リーグの強豪〞という共通項がある。欧州での最初のクラブとなったVVVフェンロは別にして、その後のCSKAモスクワ、ACミランは――後者は低迷期が長いが――、いずれも強豪クラブだ。今回、彼が新天地に選んだパチューカも、メキシコきっての強豪である。
その国のリーグにおけるビッグクラブを選択すること。それは格という意味だけではなく、プレーの相性を考えても重要なポイントだ。
本田は単独で個性を発揮するタイプではない。周りとの連係やインテリジェンスを生かしながら、〝チームに利くプレー〞をする。そういう選手だから、上質なアタッカーを揃えた攻撃的なビッグクラブのほうが、都合がいいのだ。
逆に残留を最大の目標に掲げる下位クラブの場合、まずは失点を減らすことを考え、攻撃に関しては〝パワーモンスター〞や〝スピードモンスター〞頼みになりがちだ。つまり、 独力で攻撃を完結させられるアタッカーが重宝されるわけだが、そうした能力は本田にはないし、また、そういったチームの中盤に入ると仕事が単純化され、彼の良さが出ない。
今回、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの下位クラブからもオファーがあったと報道されているが、それを蹴ってメキシコの強豪を選んだのは、本田が自分自身を知っているがゆえではないだろうか。
文:清水英斗(サッカーライター)
※『サッカーダイジェスト』8月10日号(7月27日発売)「THE JUDGE」より抜粋