【現地コラム】“借家”ウェンブリーでの初陣は黒星も、トッテナムがポジティブなワケ

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年08月22日

3ポイントは失ってもトッテナムがネガティブじゃない理由は?

試合当日のウェンブリーは、スタジアム周辺やロッカールームなど全てがトッテナムカラーに彩られた。 (C) Getty Images

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 そして何より、ウェンブリーのピッチでも、トッテナムはトッテナムらしく攻勢を続けていた。
 
 主力の怪我と出場停止も重なって駒不足のチェルシーが、3バックの手前に3ボランチを置く、ポゼッションを捨てた3-5-2の布陣で臨んでいたとはいえ、内容的に勝者となるべきはトッテナムだった。
 
 82分の同点弾は相手のオウンゴールによるものだが、そのミチ・バチュアイに頭を出させたクリスティアン・エリクセンのFKは、そのシーンのみならず、常に危険度が高かった。
 
 エースのハリー・ケインも、中央からのミドルや右サイドから持ち込んでのシュート、さらにポストを叩いた左サイドから対角線を狙った一撃など、頻繁に決定機を作り出していた。
 
 もし、彼がトッテナムでの通算100ゴール目を決めていれば、“ホーム”は更に盛り上がっていたはずで、結果も変わっていたのではないだろうか?
 
 2失点はいずれも、個人のミスが重なった不運だったと言える。
 
 マルコス・アロンソに完璧なプレースキックを披露された1点目は、デレ・アリの軽率なファウルによるもので、同じくM・アロンソの2点目も、ヴィクター・ワニャマがタッチを誤ってボールを失い、シュートがGKウーゴ・ロリスの脇の下を抜けたもの。それだけにトッテナムとしては、勝てたはずの“借家”でのホーム初戦だったのだ。
 
 ポチェティーノは試合後に「結果は悔しいが、パフォーマンスには満足だ」と胸を張り、ミックスゾーンではロリスも「許してはいけない得点を許した」と潔く語っているが、チームにネガティブな雰囲気はなかった。
 
 シーズンはまだ2節を終えたばかりだ。3ポイントは失ったが、堂々とホームゲーム初戦を終えたトッテナムは、世間が騒ぐ「ウェンブリー・ファクター」など、心配無用といった自信を得たに違いない。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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