【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|まさかの濃霧試合。映像確認もままならず…

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年08月07日

スカウティングビデオを確認すると…。

濃霧のなかでのゲーム。スカウティングビデオを確認すると、前半20分くらいまでしかしっかりと映っていなかった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 どれくらい時間を置くのかは分からなかったが、再開する雰囲気はあったので、中断してベンチに戻ってきた選手たちに、「完全に休まないでくれ」と話した。選手も戦術の確認をしたり、身体を少し動かしたりしながら準備をしていたように思う。
 
 鹿島の選手たちからは「早く再開しよう」という空気感を感じ取れたので、うちもスイッチを切りたくない。「ひと息ついたらやられてしまう」という考えがあったので、すぐに動けるようにフィジカルコーチに指示を出した。
 
 実は2012年のJ1リーグ10節・清水戦で、ゴルフボール大の雹が降って中断したことがあり、フッと気持ちを落ち着けすぎてしまった反省があった。コーチ時代の出来事だが、その時は自分にも途中で試合が完全に止まってしまう経験がなく、どうやって身体を作り直させようかに悩んだ。再びスイッチを入れるのに苦労したことを覚えている。
 
 また、仙台から鹿島まで応援に駆け付けてくれたサポーターも、ゲームをしっかり観戦できなかったのではないだろうか。そのうえで勝ち試合を届けられず、さらに悔しい想いをさせてしまったことを申し訳なく思っている。
 
 見えないといえば、試合後にスカウティングビデオを持ち帰って確認してみると、前半20分くらいまでしかしっかりと映っていなかった。その後はまったく見えないから、失点シーンがどういう状況で生まれてしまったのかを深く分析できなかった。
 
 DAZNも見てみたが、同じくまったく分からない。そのため、翌日のトレーニングでは選手たちに「こっちではきちんと把握できないので、みんなで話し合ってくれ」と伝えた。
 
 何が起きたのか、なぜ起きたのか、どうすれば良かったのか。鹿島が攻めあぐねていたのは事実で、あの1シーンさえなければ違ったゲーム展開になったはず。だからこそ、問題を解決してもらいたい。
 
 ただ、これも今の我々に足りないものを補う良い機会なのかもしれない。選手一人ひとりが考え、解決策を見い出し、行動する。今シーズンのテーマに掲げた「自立」を促すチャンスなんだと捉えている。
 
 珍しい試合を落としてしまった。しかし次節からはしっかりと結果を出して、チームの目の前にある「霧」が晴れるようにしたいと思っている。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は8月9日に行なわれる21節・磐田戦の予定。お楽しみに!
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