長谷部誠はなぜ「ブンデスリーガで10年」生き残れたのか?

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2017年07月18日

言うことを聞くだけではない「規律正しさ」。

コミュニケーション能力の高さは長谷部の大きな特長のひとつ。誰とでも分け隔てなく接し、周囲と良好な関係を築ける。(C)Getty Images

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 ヴォルフスブルク時代の監督だったフェリックス・マガトはかつて、「(長谷部は)我々が忘れかけているものを持っている。規律だ」と語っていた。たしかに我々日本人は、欧米人と比べて規律正しく勤勉で真面目だと言われる。一般的にもポジティブに評価される部分だ。だが、そもそも指導者が求める「規律正しさ」とは何だろう。自分が言うとおりにただ走り、ただ戦い、ただプレーしてくれる選手のことを意味するのだろうか?
 
 いや、それはあくまでも一側面でしかないはずだ。サッカーの試合ではどれだけ入念に準備をしていても、予期せぬ出来事が起こる。味方のミス、相手が想像を超えるプレーをするのは、言うまでもなく当たり前だ。明らかに相手が有利な状況であれば、そこでボールを失ったり、突破を許したりしても、その人のミスとは換算されないかもしれない。
 
 しかし、もちろん「だから仕方がない」というものでもない。そんな難しい状況でもチームを救うプレーができるかどうかが、監督から一目を置かれるために大きな意味を持つ。「規律正しさ」という言葉の中には、監督が意図した通りの動きを見せることに加えて、状況とエリアに応じた応用力も併せ持つことが含まれていると考えるべきだろう。
 
 その「応用の効く規律正しさ」を、長谷部は高い次元で具現化できる選手だ。戦術的な規律をしっかりと理解したうえで、ゲームの流れを読み、状況とエリアに応じた正確な判断ができ、それを実現するためのテクニックとフィジカルがある。テクニックとはボール扱いのことではない。相手のプレッシャーを受けながらも正確にボールを止め、ボールを運び、味方に届けるプレーの技術レベルがとても高いのだ。
 
 長谷部はフィジカルにしても単純なパワー、スピード、スタミナという枠で見れば、世界的にトップレベルとは言えないだろう。しかし、攻撃でも守備でも相手よりも良いポジショニングを取り、相手よりも良いタイミングでボールにアプローチすることで、それが弱みとして現れない。
 
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