【浦和】負けても不動のコアメンバー。そこに「男」がいない

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2017年07月07日

思い出される闘莉王の言葉ーー。今もっとも欲しているのは、闘える選手ではないか。

川崎戦でレッドカードを受けた遠藤が、9日の新潟戦は出場停止に……。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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  川崎戦後、「今は勝てる気がしない」と本音を漏らした選手がいたが、心の折れたボクサーがリングに立っている状況だ。しかも、周囲からのあらゆるプレッシャーがプラスに作用しているとは言えず、もっとも肝心な選手たちが意気消沈し奮い立てずにいる。
 
 とはいえ、特に最近……試合中の選手たちの姿に、ガッカリさせられることもあったのは事実だ。競り合って負けたあとに相手よりも痛がったり、不平不満を主審にぶつけたり、負けているのにバックパスを連発したり……。あらゆる「仕事」に共通して言えそうだが、プロが現場で弱気を見せて得をすることは一切ない。現場には常に駆け引きがある。ただ、今はすべてが加速度的にネガティブに向かっている。
 
 ペトロヴィッチ監督は、基本的に全ポジションで、高いテクニックを要求する。まず優先すべきが、センスとテクニック、続いてバランス。欧州のように頭抜けた強さや高さを備えているわけではない日本人選手の特性を生かせる、ガラパゴスとも言われるが、日本にあった戦術なのは確か。その方針にもとづくメンバーが選ばれ、ある意味、指揮官のメンバー選考の基準は6年間ブレずにいると言える。
 
 ただ、浦和が今、もっとも欲しているのは、より巧い選手ではなく、闘える選手ではないだろうか。2014年、リーグ優勝まであと1勝という状況から、残り3試合一度も勝てず、最後にタイトルを逃した。最終節の名古屋戦(●1-2で逆転負け)のあと、「浦和には男がいない」と闘莉王に指摘されたが、それ以来、結局、「男」が現われずにいる気がする。確かに関根や武藤らはファイティングスピリットを見せるものの、ポジションが確約されてきたコアメンバーにそういった牽引する存在が見当たらないままだ。
 
 15年も、16年も、勝負どころで相手を叩きのめせず、大一番で敗れてきた。「ファミリー」の絆を重視してきた優しさや甘えが、この期に及んでも抜け切れず、そのツケが現在に至っている気がする。
 
 9日のホームで迎える新潟戦は、危険地帯で唯一ボールの奪いどころとなっていた遠藤が出場停止となる。テコ入れすべきDF陣は、結局、森脇、那須、槙野という、これまでの序列どおりの顔触れになるのだろうか……。

 この状況を変えられるのは、指揮官の決断と、それに応える新鮮な戦力、そして勇を鼓して立ち向かう「男」たち……。それはないものねだりなのだろうか。いや、浦和にはまだ底力があるはずだと信じたい。ただ、それらが揃い、闘う集団になれなければ、現状を打開できない気がする。浦和が踏み込んだ夏のトンネル。暗闇からの突破口を見出すことはできるだろうか。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
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