【浦和】監督交代の必要はない。しかし過去にない危機の打開へ、変化が求められる

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2017年06月30日

プレッシングの真っ向勝負で磐田と鳥栖に敗れる。近年なかった負けパターン。

国内リーグは柏、磐田(写真)、鳥栖に負けて3連敗。1年前にも同じく3連敗を喫しているが、状況は異なる。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 ペトロヴィッチ監督は好戦的だ。今季はより攻撃的に、「できるだけ敵陣で試合を進める時間を増やしたい」と、ハーフコートゲームに持ち込む展開を理想に掲げて取り組んできた。実際、4-1の甲府戦、7-0の仙台戦など、ハマった時の爆発力はすさまじかった。
 
 近年、浦和相手にとにかく守備を固めてくるチームが相次いだ(浦和のホームゲームが『つまならい』と言われてきた理由のひとつでもある)。そういったチームを攻略するために、今季、指揮官は力で攻め倒す――という戦い方を選択した。
 
 しかし、4月22日の札幌戦(〇3-2)以降、雲行きが怪しくなった。延長を含め40分間を数的優位で戦ったホームの済州戦以外、全12試合で失点している。

 高いライン設定は、リスクを伴う。森脇良太の背後にロングボールを放ち、スピードのあるアタッカーを走らせる。また、槙野智章はゴール前でディレイの守備をする癖を見抜かれ、ドリブラーをあてがって打破してくる。その攻略パターンに屈し、失点が止まらずにいる。 西川周作や遠藤航のミスからの失点も、そういったハイラインを保とうとする守備が背景にある。

 実際のところ、最近の磐田(●2-4)、鳥栖(●1-2)は真っ向勝負で敗れている。自陣を固めてカウンター一発に沈む、そんな過去の負けパターンと異なる。
 
 最近のいずれの試合もプレッシングの掛け合いから主導権を握られ、サイドの攻防でも劣勢を強いられた。西川やDF陣のミスがなければ異なる結果になっていたかもしれないが、失点が続いているのは事実。しかも最近は守備でリズムが狂い、攻撃まで機能度が落ちる悪循環に陥っている。
 
 とりわけ最近の2連敗では、ハーフコートゲームを狙うのか、バランスを重視するのか、守備ありきで割り切るのか……。そのあたりが曖昧になっている。
 
 そして鳥栖戦のあと、選手たちから共通して聞かれたのが、「考えすぎている」という声だった。
 
「こういう時は、考えすぎてしまう。あえて、何も考えないのも手のひとつだと思う。もちろん抵抗はあるが、力を抜いてやることも大切かもしれない」(西川周作)
 
「後ろのバランスを崩している。相手に良い選択肢を多く持たせてしまっている。一つずつ後手に回ってしまっている。『守備から』の意識が強すぎたかもしれない。もっとシンプルにプレーしてもいい」(遠藤 航)
 
「立ち止まるわけにはいかない。打開して進んでいかなければ。今はそういった状況。ちょっと難しく考えすぎているのかもしれない。一度整理しなければ。結果が出ていないとネガティブになってしまう。一度クリアにして、チームとして打開していきたい」(阿部勇樹)

 そういったコメントからも、選手たちに迷いが伝わってきた。
 
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