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【広島】悩み抜いた末の中東移籍。シンデレラストーリーを歩んでいた塩谷司に何が起きたのか

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2017年06月17日

「優勝争いをしていても、移籍を決断した」

リオ五輪はグループステージで敗退したものの、世界の猛者を相手に一歩も引かぬプレーを見せた。写真:JMPA/小倉直樹

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 広島に移籍してからは圧巻のドリブルからストライカーかと思えるほどのシュートの上手さ、さらにFKでも直接決めるなど、彼自身が驚きを隠せなかった攻撃力の高さを発揮。特異といっていいスタイルを作り上げた。
 
 だが、勢い込んで臨んだ五輪、特にナイジェリア戦で完敗して以降、塩谷は迷い始めた。
 
 このままでいいのか。
 急激な成長によって、塩谷は多くの栄光を一気に手に入れた。だがあまりに順調だったがゆえなのか、一瞬の停滞が心を突き刺す。「(自分自身に)マンネリ感や行き詰まりも感じていた」と正直に告白する。
 
 海外へ行きたいという想いを隠すことはなかった。五輪では試合を追うごとにパフォーマンスを上げていった実績を考えれば、海外の選手を相手にしても慣れれば戦える。国際舞台で活躍すれば、代表への道も拓ける。その自信はあるが、具体的なオファーには至らない。クラブとの契約に「海外移籍の場合は、違約金を低減する」という条項を盛り込むことで海外進出のハードルを下げることもできるが、「移籍金はクラブに残したい。自分を高く買ってくれるクラブに移籍しないと意味はない」という信念は揺るがなかった。
 
 揺れる想いのなかで彼は迷い、ピッチの中での集中力も散漫になった。五輪から戻ってきた後の塩谷は、それまでのような前を向いて闘う強い意志や目標を掴むためにガムシャラに闘う意気込みを感じることができなかった。
 
 2013年、森脇良太の移籍によって空いたポジションを勝ち取ろうと毎日のトレーニングで必死に戦い、泥まみれになりながら走った塩谷司では、もうなかった。セットプレーであっさりとマークを振り切られ、呆然と立ちすくむ紫の33番。停滞感は明白。しかし、どうすればいいか、分からなかった。
 
 今回のアル・アインへの移籍について、欧州ではないということで違和感を覚える向きもあっただろう。広島が降格圏に低迷している今の時期の移籍についても、賛否はある。だが、プロになるんだという決然たる態度を確立させた父の死以降、初めてといっていい「停滞」に苦しんでいた彼にとって、移籍は必然だった。「優勝争いをしていても、移籍を決断した」という言葉が、その証明である。
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