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【小宮良之の日本サッカー兵法書】司令塔不在の危機にある今、日本代表は新たな強みを発見できるか!?

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年06月11日

シリア戦、苦肉の策で採用したフォーメーションは機能せず…

バリエーション豊富な戦力、それを的確に使いこなせる指揮官の存在が、スペインに栄光をもたらした(写真)。2014年W杯で愚直な姿勢を貫いて失望を味わった日本は、その経験を活かせるか。 (C) Getty Images

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 6月7日に行なわれたシリア戦で、ハリルホジッチ監督は基本とする4-2-1-3ではなく、4-3-3のフォーメーションを用いていた。これは長谷部誠の不在が大きい。苦肉の策とも言える。
 
 もっとも、「瓢箪(ひょうたん)から駒」で選択肢は生まれるものでもあるわけで、試すこと自体は悪いことではないだろう。
 
 しかし4-3-3は、全く機能しなかった。1-1のドローという結果以上に、中盤で相手にアドバンテージを取られてしまった点に、苦々しさは残った。FW、DFとの距離感も悪く、攻守に安定を欠いた。
 
 ハリルホジッチの4-3-3の出発点は、バルサのシステムとはまるっきり違う。バルサの信条は、「ボールありき」でお互いのサポート関係を保ち、繋いでマークを剥がし、前に持ち運ぶ、という能動的なオートマチズムが根底にある。
 
 対してハリル・ジャパンのそれは、どちらかと言えば、日本がベスト16にまで勝ち上がった南アフリカW杯で、岡田武史監督が用いた受け身の戦いが基本だろう。相手の嫌がる守備をし、スペースを与えない、というやり方だ。
 
 いずれにせよシリア戦の日本は、相手への寄せが甘い上に、軽率にインターセプトを狙い、裏を取られるなど守備面で脆さが出た。必然的に攻撃面でも、連係は乏しかった。
 
 後半に本田圭佑が右インサイドハーフに入って、プレーの渦が生まれたが、相手のシリアが3日前にオマーン戦を戦い、長旅と時差に苛まれ、その上でラマダンの断食中だったことを考えれば、相手の足が鈍っただけ、とも言える。
 
 長谷部がいなくなっただけで、ハリル・ジャパンの戦い方が揺らいでいる……。果たして、災いを転じて福となせるか。6月13日のイラク戦が注目される。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
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