【コラム】想像を超える10代の成長曲線。久保建英がロシアW杯に間に合う可能性は?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2017年06月08日

抜擢するならシリア戦の乾のような役割になるか……。

シリア戦では途中出場した乾が積極果敢な仕掛けで攻撃のアクセントに。現状でもジョーカー候補は多士済々だ。写真:田中研治

画像を見る

 もちろん久保の攻撃面でのポテンシャルを考えれば、まったく不可能とは言い切れない部分もある。例えば日本が主導権を握れるアジア予選なら、現主力組と連動しながらアクセントをつける光景も想像できるし、1年間でFKをはじめとする技術の精度にも磨きがかかるはずだ。チャンスがあるとすれば、追う展開でのジョーカーとしての選択だろう。
 
 だが反面、現フル代表の明確なトップ下を置かない4-3-3にはめ込むのは簡単ではない。ハリルホジッチ監督は、アンカー前のインサイドハーフに今野泰幸を起用しており、守備面でのデュエルを含むハードワークを重視していることが分かる。抜擢するならシリア戦の乾貴士のような役割になるだろうが、このポジションの候補者は多士済々だ。
 
 ただし久保自身もU-20ワールドカップの経験を「貴重だった」と振り返るように、大舞台での刺激は何より有効な成長促進剤になる。他競技を見ても、リオ五輪で現地に赴きながら補欠だった卓球の平野美宇が大会後に中国勢を連破してアジア王者になり、水泳では同じくリオ五輪200メートル平泳ぎ準決勝をトップ通過しながらメダルを逃した渡辺一平が、今年は世界新をマークした。斯界でも2010年南アフリカ・ワールドカップでサポーティングメンバーに回り、忸怩たる思いをした香川真司が、直後にドイツでブレイクしている。
 
 久保が「日本の宝」なら、代表に選ばれなくても現地に帯同し、空気に触れさせる。そのあたりが現実的な落としどころだと思う。
 
文:加部 究(スポーツライター)
【関連記事】
才能だけで久保建英は生まれない。元バルサ育成指導者が日本の状況に覚えた違和感とは
久保建英は、具体的に何が凄いのか? 今さら聞けない逸材の真価とは
【日本代表 │プレー分析】久保裕也、沈黙の背景とは? "あの男"とパス交換でリズムを作ったが…本田圭佑との『差』も
【日本代表|シリア戦戦評】乾貴士と本田圭佑の働きは本当に素晴らしかったのか?
【セルジオ越後】香川の負傷、CBの連係… 不安は多いが危機感を持って敵地へ行くのは悪くない

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ