【岩政大樹の視点】イラク戦の準備はOK。しかし、課題は手付かずのまま

カテゴリ:日本代表

岩政大樹

2017年06月08日

予選は突破していくだろうが、1年後のワールドカップを見据えると…。

大迫は前線でタメを作り、攻撃の起点になっていた。写真:田中研治

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 そんななか、大迫選手は前半後半ともに起点になり続けました。動きと思考を止めず、常に相手を出し抜いていました。簡単にボールを失う場面も皆無でしたし、少しずれたボールもマイボールにしていました。表情からも自信や覚悟が見え、選手としての旬を迎えている印象です。ケルン同様、日本代表の戦いの中心になりつつあると感じました。
 
 その大迫選手の球際の粘りが起点になった、ゴールシーンの長友選手と今野選手も見事でした。長友選手はクロスの瞬間、最初はマイナスのクロスをイメージしたのではないかと思います。しかし、相手と味方を見て判断を変え、今野選手に合わせました。今野選手も彼独特のゴールセンスでスペースを見つけ、侵入していきました。守るだけではない今野選手の良さが現れたゴールでした。
 
 森重選手の落選を受けて注目された昌子選手は、地上戦において流石の強さを見せましたが、失点シーンなど、いくつかのシーンでポジショニングにミスがありました。ただ、時間とともに落ち着いていった印象です。彼は私とは違い、代表向きのメンタリティを持った選手です。イラク戦も大きな問題はないでしょう。
 
 今の日本代表は、ハリルホジッチ監督が促す競争のなかで、適切なポジション争いが行なわれています。スカッドには経験のある選手たちも多く、チームの雰囲気は強いチームのそれに向かっていると感じます。ワールドカップ予選もきっと彼らのパーソナリティで突破していくでしょう。
 
   一方で、ワールドカップまで1年。あと1年で仕上げるチームとして見た時に「つながり」の薄さは懸念材料です。一人ひとりをつなぐ糸が切れていては、ワールドカップは勝ち抜けないでしょう。今のベースの上に、そろそろ「つながり=日本人らしさ」の上積みが見えてきてほしいです。

【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。

 
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