【藤田俊哉の目】現地観戦したCL決勝。C・ロナウド、イスコも光ったがMVPを選ぶなら…

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2017年06月07日

ユーベとマドリーの差は中盤の構成力だった。

中盤で絶大な存在感を放ったモドリッチ。藤田氏が決勝のMVPに推すプレーヤーだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ターニングポイントになったのは、やはりマドリーの2点目になるだろう。1対1で折り返した後半、カゼミーロが放ったロングレンジからのシュートが、ケディラの足に当たって軌道が変わりゴールに吸い込まれていった。ユーベにとってはアンラッキーとしかいいようがないゴールだった。
 
 マドリーの先制点を振り返ってもしかり。クリスチアーノ・ロナウドのシュートもまた、ボヌッチの足にかすってゴール左隅へ吸い込まれている。いずれのシュートも、名手ブッフォンが伸ばした手がわずかに届かなかった。
 
 ディフェンスの組織力とともに、ブッフォンのセーブで保たれているユーベの堅守も、ここまでアンラッキーなことが続いてしまっては、いくら堅守とはいえ、なす術もない。とくに、カゼミーロのシュートが決まった時の彼らの表情は、悲壮感すら漂っていた。これまで大会3失点で抑えてきた自信が崩壊した瞬間だった。3分後、ユーベは決定的な3失点目を喫しているが、最も警戒すべきC・ロナウドにノーマークでシュートを許しているシーンを見ても、もはや緊張の糸が切れてしまったのだろう。
 
“幸運の女神”という表現を使うのは個人的に好きではないが、結局はシュートを打たせないことが大事なことであって、逆説的に言えば、シュートを打てばなにかが起こるのだ。宝くじだって買わなければ当たることは絶対にない。それと同じく、可能性の低そうなシュートだって、そもそも、打たなければ入ることはない。シュートを打つことの重要性を教えられたゲームだったとも言える。
 
 ただしゴールシーンだけが、この試合のすべてではない。やはりユーベとマドリーの差は、中盤の構成力にあったように思う。モドリッチ、クロースを軸としたマドリーのパスワークがあって、時間の経過とともに、徐々にユーベが追い込まれていたのは明白だ。
 
 今大会のMVPを選ぶのならば、大会を通してゴールを量産したC・ロナウドになるが、この日のMVPは間違いなくモドリッチと言える。前線のフリーマンとしてポジショニングが光っていたイスコの活躍も見逃せないが、後半になってユーベのファウルが目立ってきたのも、モドリッチを軸としたマドリーのボール回しが彼らのプレッシャーを上回っていたからだ。この日のモドリッチはパーフェクトな出来だった。
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