【コラム】先行き不安なヴェンゲル政権の継続…ファンもチームも一つになれるのか?

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年06月01日

補強の権限を持つ指揮官が、大幅なテコ入れ「不要」と考えるならば…。

最後にプレミアリーグを制したのは、2003-04シーズンのことだ。アンリやヴィエラといったヴェンゲルが引き抜き、育て上げた選手たちによる見事な戴冠劇だった。この時のような“インビジブル(無敵)”な時代は訪れないのか? (C) Getty Images

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 筆者も著名な識者たちの考えに同感だ。
 
 新契約下でフットボール・ディレクターをチームに招く条項を受け入れても、補強に関する権限を持ち続ける監督が、「大幅なテコ入れは不要」と考えているのであれば、今夏に積極補強が見込まれるライバルたちに置いていかれる危険性は十分にある。
 
 そのヴェンゲルにとって最大の既存戦力とされるのは、FAカップ決勝でもマン・オブ・ザ・マッチに相応しいプレーを見せたアレクシス・サンチェスだ。
 
 しかし、そのストライカーに対してクラブが、「来シーズン以降は違うんだ」という姿勢を早々に打ち出さなければ、現状に不満を隠せなくなっているチリ代表FWの流出を避けるのは難しいだろう。
 
 今シーズンは最後の最後に笑ったヴェンゲル。しかし、67歳の老将の再び周囲を見返すための戦いは、2年契約を結んだこの瞬間から既に始まっている。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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