【コラム】テリーが22年間のチェルシー人生に幕引き。「非道な英雄」の今後は?

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年05月22日

唯一無二のリーダーを失ったコンテ・チェルシーの新キャプテンは?

26分にピッチを去る際にはチームメイト、スタッフ、サポーターたちから盛大な拍手で送り出されたテリー。 (C) Getty Images

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 その点、チェルシー就任1年目のアントニオ・コンテ監督にとっては、たとえそれがベンチでもリーダーシップの発信源が明確だったことは言うまでもない。36歳のベテランCBに出場機会を約束できなかったのが指揮官の本心なら、今シーズンの会見場で幾度となく繰り返した「ロッカールームで重要な存在」という発言も本心だろう。
 
 1-2と敗れた4月1日のクリスタル・パレス戦では、番狂わせを防ぐことはできなかったが、チームもファンもナーバスに陥った80分過ぎに、「覇気を取り戻せ!」と言わんばかりのジェスチャーをするためだけに1往復のウォームアップに飛び出し、その存在感を改めて証明した。
 
 最終節終了後にチェルシー指揮官は、チームメイトが表敬の整列までした前半の交代について、「まるで功労試合」と否定的に受け取る向きがあるのに対して、「最高の花道を用意したかった。ジョンにはそれだけの資格がある」と言って譲らなかった。それほど評価していたリーダーの退団を「大きな損失」と認めてもいる。
 
 ただ、コンテには「ポジティブなエンディングだ」というだけあって、すでにリーダーの後釜の選択肢も見えているはずだ。
 
 副主将のガリー・ケイヒルは昨夏に放出説もあったが、今シーズンの安定したパフォーマンスで株を上げた。パリSGから舞い戻った人気者のダビド・ルイスは中央で新たな要と言われるまでに変身。そして多くのファンが新主将に推すセサル・アスピリクエタも、今シーズンの国内リーグ戦全試合フル出場の信頼度を誇っている。
 
 テリーにベンチ生活を強いた彼らならば、新たなキャプテンとしても十分に働くはずだ。
 
 そして未だ去就が定まっていないテリーには、国内からはスウォンジーやボーンマス、海外ではアメリカや中国などで現役続行の可能性が指摘される一方で、現役引退もありえるとすら報じられている。
 
 しかし、今後の身の振り方がどうであれ、チェルシー・サポーターを自認し、誰もが認める生粋のリーダーが、これ以上ない退団の花道を飾れたのは間違いないだろう。
 
 なにせ、ホームで自身5度目のプレミア優勝トロフィーを掲げて締め括ったシーズンに、キャプテンのバトンを渡す候補の台頭を見届けることができたのだから。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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