ボカの勝利への熱量に驚愕! 東京国際ユース(U-14)を取材して感じた彼我の差

カテゴリ:特集

佐々木裕介

2017年05月13日

表彰式では狂ったように喜びを爆発させたボカの選手たち。

カメラに陽気な表情を向ける海外の選手たち。写真:佐々木裕介

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 足もとの技術だけで言えば、日本のチームも十分に持ち合わせていた。多くの選抜チームが出場しているなかで、チーム戦術の理解度や連係のチグハグさは致し方ない面もあるとは思うのだが、海外選手に比べ、試合に勝ちたいというパッションが日本人選手からはほとんど感じ得なかったことが残念でならなかった。
 
 日本の育成カテゴリーを長年指導されている、東京ヴェルディU-14監督のジョゼ・アントニオ氏は「日本の育成年代の現状」について、こう話してくれた。
「日本の育成世代の将来は明るいと思っています。磨けば光る原石が沢山いるんです。しかし私の母国、ブラジルと日本とでは、歴史も文化も環境も全てが異なります。指導者も日本の環境や子供たちに合った指導を考えながら勉強しなければならない。私も日々そこを考えながら指導しています」
 
 日本の歴史観を変えることはできないし、豊かで平和な生活観を敢えて正すことも無意味だろう。しかしこの置かれた環境の中で世界との“差”を如何に縮めていくのか、日本サッカー界の永遠のテーマであるが、フットボールの世界で日本はまだまだ発展途上国であることを忘れてはならず、学びの心なくしては、進歩はないだろう。
 
 日本サッカー協会が取り組むグラスルーツ推進やトレセン制度の構築にはただただ敬意を払うばかりで、また今日、海外遠征の機会が増えている環境にも希望を感じるのだが、並行して一層の“メンタルコントロール”強化にも取り組んでほしいと切に願っている。
 
「毎年、海外招待チームには、ホテルで騒ぎを起こすチームがいて……」とは、大会運営関係者との立ち話で出てきたこぼれ話。運営側からすれば辛いこともあるのだろうが、野郎はヤンチャしてこそ大きくなるのです! 若気の至りということでご理解いただきたく……。
 
 決して日本チームに騒ぎを起こせという類の話ではなく、同じ宿舎で起きている空気を感じ取り、自らの気付きへつなげてほしいと思うのだ。
 
「生き抜いていくためには何をしなければならないのか」、日々の生活から体感しながら育つ“世界の強者たち”と対等にやり合うためには、日本人が生まれながらにしてプログラミングされている“大和魂的本能”を活性化させて表現しなければ、というのが筆者の持論である。
 
 東京オリンピックを3年後に控え、彼らと同世代の15歳、久保建英がU-20日本代表へ飛び級選出されたことに注目が集まる今日、「まだ子どもだから」という日本的優温な眼差しは、時として本来持ち合わす人としての本能を抑制してしまいかねない。どんどんトライさせてほしいとも思う。
 
 表彰式、勝利前提で周到に用意された“必勝鉢巻”と“セレステ・イ・ブランコ”を纏い、周りを気にせず狂ったように喜びを爆発させる“ボカの若き講師たち”。その姿にいろんな羨ましさを覚えたのだが、毎年このような特別授業を拝聴できる大会を提供してくれる東京都に感謝の拍手を送りたい。
 
取材・文・:佐々木裕介
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