【大宮】幾度もの挑戦の果てに――。“さいたまダービー”で結実した江坂任の強い意志

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2017年05月02日

「何度もアタックを続けて良かったな、と(笑)」

「攻撃陣を引っ張らなければ」。その強い意志で何度も浦和守備陣に挑み、茨田のスーパーゴールを生むアシストを決めた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 江坂は2017年シーズン、ある使命感に燃えていた。それは“攻撃陣の牽引車”となること。実際に、「攻撃を引っ張る役目が求められている」という言葉をよく口にするようになった。大前元紀という目玉選手が加入してきたものの、その意識は揺るがない。
 
 大宮は今オフ、16年シーズンのクラブの躍進を支えた家長昭博と泉澤仁を失った(前者が川崎、後者がG大阪へと移籍)。攻撃の核、キーマンがふたりも一気に流出したのだ。
 
 江坂自身は昨季、リーグ戦で31試合・8得点、ルヴァンカップで8試合・2得点と公式戦通算でふた桁ゴールを記録している。「家長と泉澤の代わりは自分が」――。背番号7に圧し掛かるのは、得点やアシストといった数字上のものだけではなくなった。
 
 そんななかでの、公式戦未勝利という苦境。責任を感じていた。だからこそ、「浮上のきっかけにしなければいけない」、「自分にとっても大きなチャンス」と話していたゲームで、ネットを揺らすべく、がむしゃらに前へ進んだ。
 
 それが、誤解を恐れずに言えば、暴走気味とも呼べる単独での局面打破の試行につながったのかもしれない。気持ちは誰よりもこもっていた。そして、実はこの幾度もの挑戦が、勝利への道筋を照らしたのだ。
 
 場面は茨田の豪快なシュートが浦和のゴールネットを揺らした63分……の少し前。河本裕之がカットしたボールが浦和陣内をてんてんと転がった。それに反応したのが江坂だった。本人の言葉で振り返る。
 
「相手ボランチが両ワイドに開いてバイタルエリアがぽっかりと空くのは、スカウティングで分かっていた。なので、『チャンスになる』と狙ってはいました。
 
 最初はオフサイドかとも思ったけど、副審が旗を上げていなかった。それで、ターンして自分で行こうと。ただ、DFが自分に食い付いてきた。ブロックされてCKになったり、ボールを奪われてしまったりしてましたけど、それまでずっと仕掛けていたのが効いたんでしょうね。
 
 そこにバラくん(茨田)が良いランニングで入ってきてくれたので、パスを出した。その後は、もしバラくんが詰まったらリターンをもらおうという意識で後ろに付いたんです。そしたらスーパーシュートを決めてくれた。
 
 それまでのドリブル突破が撒き餌になった? そうですね。意味があの瞬間に出たと言うか、味方を使うという選択肢がかなり効果的になったわけですから、何度もアタックを続けて良かったな、と(笑)」
 
 確かに江坂は何度も失敗したかもしれない。しかし、強い意志とトライを続ける姿勢が最後に活路を拓いた。歓喜を呼んだ。ミックスゾーンで呼び止めた際の笑顔、そして去り際に見せた充実した表情。特別な戦いで、またひとつ成長の階段を登ったように映った。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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