【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|仙台のレジェンドが内外に示したベテランの意地

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年04月23日

誰もが「(FKを)蹴るのは梁だ」と騙されたはず。

佐々木はアピールを続けて、結果を出し、スタメンのチャンスを得た。その姿を見た他の若い選手たちには「俺もやれる」と続いてほしい。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 昨日は大岩(一貴)に高い位置を取らせて、3人でトライアングルを作りながら攻めたかった。だから、「ハチにボールが収まったら横に付くか、ダイアゴナルに走って相手ウイングバックの裏を使え。そうすれば前進できるから」「1点返したら流れは変わるぞ」とだけ伝えた。
 
 68分、見事に起用に応えてくれた。昨季はプロ入り後初のノーゴールでシーズンを終えたが、今季のこの時期のタイミングでの得点は、本人にとってもチームにとってもプラスになると思う。
 
 73分のタマ(三田啓貴)のFK同点弾にも触れておきたい。直前のゴール、ボールがセットされた位置、背番号10の気迫、そして本人が受けたファウルだったこともあって、誰もが「蹴るのは梁だ」と騙されたはずだ。
 
 映像を見返しても、(林)卓人は梁のタイミングで動いてしまっているし、壁にもジャンプしてしまった選手がいる。あれは記録に残らないファインプレー。「心は熱く、頭は冷静に」ではないけど、さらにアピールしたいシーンで己を殺した。素晴らしい発想と賢明さだった。
 
 今の状態は「健全な競争」だと思う。匠はアピールを続けて、結果を出し、スタメンのチャンスを得た。それに対して、クラブのレジェンドである梁も「俺だっているぞ!」と強気の姿勢でスタンバイをしてくれた。切磋琢磨が、チームを活性化し、チーム力を底上げするのだ。
 
 若い選手たちは匠の姿を見て、「俺もやれる」と考えてほしい。梁の姿を見て、「やるべき時にやってくれる」と学んでほしい。いかに、自分をその立場に置き換えられるか。このふたりの争いを間近で見ることで、成長への刺激になればと思う。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は4月30日に行なわれる9節・清水戦の予定。お楽しみに!
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