開幕7戦目での初勝利。苦い経験に原は何を語ったか。
彼は18歳にして職人、裏方の自覚を持っている。プレーも言動と同様に落ち着いて、確実性の高さが売りだ。特別な身体能力、ドリブルや強烈なキックといった分かりやすい武器の持ち主ではない。しかし冷静さ、判断力、そして適応力といった“目に見えない武器”があるから、彼は三浦文丈監督の評価を得ているのだろう。
ただ原のプロ生活はまだ始まったばかりだ。J1リーグ戦で7試合、617分のプレーを終えた手応えを彼はこう述べる。
「プレースピードに少しずつ慣れてきて、落ち着ける時間も開幕戦より増えた。そこは収穫かなと思います」
話題が課題に移ると彼は雄弁に語り始めた。
「ボールを奪ってから落ち着かせたい場面で、パスを長く出してしまったり、ラインを割ってしまったりすることがあった。しっかり周りを見ながら、自分のところで時間を作れるようにしたい。周りの押し上げを待つプレーをサイドバックができれば、チームも助かると思う。時間を作れるサイドバックとして、チャンスメイクのボールを入れたい。使う側のサイドバックというイメージは、自分の中で少し見えてきた」
無理に喜びを抑えている、謙虚を心がけているという気配は無かった。もちろんビッグマウスというタイプでもない。ただ彼にはきっと「自分はもっとできる」という自負がある。だからこそ原は一喜一憂せず、成長に向けて殻を破る時間をもどかしく感じるのだろう
新潟にとって甲府戦は今季の公式戦初勝利。原はプロ入りからいきなり50日も、勝利と縁のない時期を過ごしていた。彼は苦い経験について言葉を選びながらこう振り返る。
「ここに来て初めてと言っていいほどの体験をした。言い方が難しいし、この経験ができて良かったと言っていいのか分からないですけど……。どういう状況でもやり続けなければいけないということは学びました。『ひとりになった時は自分が出ていて本当にいいのかな?』とか、色々考えることはありました。でも使ってもらっている以上はやり続けないといけないし、結果を出さなければいけない。今日は結果だけですけど、出せて良かった」
原はやはりプロ選手として、開幕からの勝ちなしを「良かった」とは片づけられなかったのだろう。しかしそういう場で苦しみつつトレーニング、プレーをやり続けた経験は、これからのキャリアで必ず生きてくる。
サポーターは“結果だけ”で喜べばいい。しかし新潟の“落ち着きすぎた高卒ルーキー”は、結果だけで満足していなかった。初勝利、初ゴールにも平然としている姿から、試合中のプレー以上に原の頼もしさが伝わってきていた。
取材・文:大島和人(球技ライター)
ただ原のプロ生活はまだ始まったばかりだ。J1リーグ戦で7試合、617分のプレーを終えた手応えを彼はこう述べる。
「プレースピードに少しずつ慣れてきて、落ち着ける時間も開幕戦より増えた。そこは収穫かなと思います」
話題が課題に移ると彼は雄弁に語り始めた。
「ボールを奪ってから落ち着かせたい場面で、パスを長く出してしまったり、ラインを割ってしまったりすることがあった。しっかり周りを見ながら、自分のところで時間を作れるようにしたい。周りの押し上げを待つプレーをサイドバックができれば、チームも助かると思う。時間を作れるサイドバックとして、チャンスメイクのボールを入れたい。使う側のサイドバックというイメージは、自分の中で少し見えてきた」
無理に喜びを抑えている、謙虚を心がけているという気配は無かった。もちろんビッグマウスというタイプでもない。ただ彼にはきっと「自分はもっとできる」という自負がある。だからこそ原は一喜一憂せず、成長に向けて殻を破る時間をもどかしく感じるのだろう
新潟にとって甲府戦は今季の公式戦初勝利。原はプロ入りからいきなり50日も、勝利と縁のない時期を過ごしていた。彼は苦い経験について言葉を選びながらこう振り返る。
「ここに来て初めてと言っていいほどの体験をした。言い方が難しいし、この経験ができて良かったと言っていいのか分からないですけど……。どういう状況でもやり続けなければいけないということは学びました。『ひとりになった時は自分が出ていて本当にいいのかな?』とか、色々考えることはありました。でも使ってもらっている以上はやり続けないといけないし、結果を出さなければいけない。今日は結果だけですけど、出せて良かった」
原はやはりプロ選手として、開幕からの勝ちなしを「良かった」とは片づけられなかったのだろう。しかしそういう場で苦しみつつトレーニング、プレーをやり続けた経験は、これからのキャリアで必ず生きてくる。
サポーターは“結果だけ”で喜べばいい。しかし新潟の“落ち着きすぎた高卒ルーキー”は、結果だけで満足していなかった。初勝利、初ゴールにも平然としている姿から、試合中のプレー以上に原の頼もしさが伝わってきていた。
取材・文:大島和人(球技ライター)