"空気"を変える風間グランパスの切り札――杉本竜士が評価を上げている理由とは

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2017年04月09日

玉田曰く「竜士に全部持ってかれた感がある」。

 試合は58分、玉田圭司のFKで名古屋が先制するも、69分に宮原和也がパス回しの最中に濡れたピッチで足を滑らせ、そこで奪われてショートカウンターからまさかの失点。同点に追いついた讃岐は勝点1を念頭に置いた試合運びで名古屋の猛攻に対峙し、1-1のまま膠着の展開に持ちこんだ。焦れる名古屋と、耐える讃岐。その状況を打ち崩したのが、杉本だ。
 
「あと10分くらいあると思ってましたよ」と無我夢中のままに辿り着いた88分、公私ともにかわいがられている田口泰士のスルーパスを受け、左サイドに飛び出した杉本は、そのままカットインをスタートする。
 
 ひとりをかわし、シュートモーションに入ったところで、後半開始早々にあった同じような場面を思い出し、「ひとつ待とう」とマーカーのタックルをかわしてから右足を一閃。強烈なミドルシュートは絶妙なインスイングの軌道を描き、ゴール右上に突き刺さった。
 
 ゴール前を固めていたDFも、名手GK清水健太も呆然と見送った移籍後初ゴールは、チームに4年ぶりの4連勝をもたらす殊勲の一撃になった。
 
 試合後、多くの報道陣に囲まれた杉本は「試合の前半というのは難しいし、後半からチームはスムーズになった。俺が何をしたというわけではないですよ」と殊勝に語ったが、「同点にされた時はマジかよ、と思いました。ここから2~3点叩き込もうと思ってたのに」とヤンチャな一面ものぞかせた。
 
 起死回生のゴールには宮原も「竜士くんには感謝です」と胸をなでおろし、先輩の玉田は「竜士に全部持ってかれた感がある」と嫉妬。レジェンドも認めるインパクトを残したサイドアタッカーは、指揮官の評価をまたひとつ確かなものとしたに違いない。
 
 殊勲ですねと問うと、「殊勲って何ですか?」と答えた天然素材は、ヒーローですよと言われて「全然です」と照れ笑い。名古屋に現われた特異なキャラクターから、今後も目が離せない。
 
取材・文:今井雄一朗(フリーライター)

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