【川崎】二度の手術を乗り越えた登里享平。「まだまだ、これから」と完全復活を誓う

カテゴリ:Jリーグ

原田大輔

2017年03月08日

「サッカーをやれる状態になれば、100パーセントの力を出し切れる」

阿部(8番)をはじめ、中村や家長など、2列目の選手との連動性がさらに高まれば、川崎の左サイドはストロングポイントになりそうだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 新指揮官の下、新たなメンバーが加わった今季の川崎は、中村憲剛も「チームとしてもがきながら進んでいることは確か」と話すように、生みの苦しみを味わっている。
 
 チームの根幹であるパスワークは再構築している段階で、鳥栖戦もそうだったように、対戦相手も川崎の攻撃を封じようと中央を固めてくるため、敵を攻略するのは一筋縄ではいかない。その難しさを感じているからか、登里はサイドからの攻撃に活路を見出そうと、前半から高い位置を取り続けていた。
 
「今季は、監督から守備に関してより緻密にやるように言われていますけど、自分としてはそれほど(昨季までと)変わらない。去年までやってきたサッカーにプラスして、新たに守備を積み上げている段階。攻撃はある程度、選手たちの発想に任せてくれているところもありますからね」
 
 鳥栖がロングボールを多用してきたため、川崎はディフェンスラインを下げざる得ない状況を強いられたが、それでも登里は好機に顔を出し続けた。20分にはチームとして意図した守備からボールを奪うと、得意のドリブルで左サイドを駆け上がった。
 
 52分にも阿部浩之のパスを高い位置で受けると、左サイドを突破して小林にクロスを上げた。得点にこそつながらなかったものの、ひとつの形は見えていた。
 
「後半は阿部ちゃんのところに入った瞬間に、数的優位を作るようにランニングを意識しました。前半の立ち上がりに速攻を仕掛けたところもそうだけど、ああいう場面でしっかりとゴールに結びつけられればと思う。もっともっと、その回数を増やしていきたいですね」
 
 何より、その表情や口調からは、自分がやらなければという強い意志が感じられる。
 
「(今季の)キャンプで膝を痛めた時は、さすがにどうなるのかな、全力でできないのかなって思ったんですけど、大事なのはメンタルの部分だけだった。サッカーをやれる状態になれば、ピッチ内に入ることができれば、自分は100パーセントの力を出し切れる。だから、ホンマにどんどん勝ちに貢献していきたいという思いはあります」
 
 チームも、個も、模索している段階の川崎ではあるが、まだシーズンは始まったばかりである。中村も「公式戦のワンプレー、ワンプレーの中でしか擦り合わせていけないことがある」と語っている。そして、登里の言葉にも続きがあった。
 
「まだまだ、ここからですよ」
 
 ピッチに立つ喜びを噛みしめている彼は充実した表情を浮かべていた。ミックスゾーンを後にするその背中には、確固たる決意が漲っていた。
 
取材・文:原田大輔(SCエディトリアル)
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