攻撃を活性化させるふたりの選手、そして優勝請負人に注目だ!
そんなバイエルンの攻撃に変化の兆しが見えたのが、前述のCL・アーセナル戦である。
この試合では、立ち上がりからバイエルンの選手の動きに躍動感があった。その大きなきっかけになったのが、チアゴ・アルカンタラの復帰だ。
現在はトップ下で起用されることが多いチアゴは、相手守備陣と中盤とのあいだにできるスペースでパスを引き出し、攻撃の起点として機能している。
ボールタッチを好むため、これまではトップ下でプレーしても、パスを受けるために下がってくることが多かったが、最近では相手の嫌がるポジショニングをキープしながら、パスを待つことができるようになった。
狭いスペースで相手選手のプレッシャーを受けてもボールを失わず、アイデアのあるプレーを披露することができるチアゴは、バイエルンの攻撃に間をもたらしている。
彼を経由することでタメが作られ、相手の注意がそこに集中している隙を突いて、アリエン・ロッベン、ドグラス・コスタ、フランク、リベリ、そしてキングスレー・コマンといったドリブルを得意とする選手が、スペースでパスを受けることができるようになってきている。
こうしたチアゴのプレーに、カルロ・アンチェロッティ監督も「いるべきポジションに留まり、相手の守備ライン間でボールを受けていた。素晴らしい」と称賛した。
また、ハンブルク戦で見られた、チアゴとトーマス・ミュラーとの併用は、今後のバイエルンにとって大きな武器になるかもしれない。
チアゴが作り出した攻撃のアクセントを、動き出しに優れたミュラーは最大限に活かすことができる。
アンチェロッティ監督はハンブルク戦後、「ミュラーは、ピッチ上でベストの選手だった。全選手が素晴らしかったが、そのなかでもミュラーがキーマンだった」と絶賛。ロッベンも「トーマスはチームにとって、ものすごく大事な存在なんだ」と語り、その活躍を喜んだ。
チーム内におけるバランスは、大幅な向上の兆しを見せている。だが、勝負の4月、5月に向けてバイエルンは、さらにコンディションとコミュニケーションを高めていかなければならない。
「CL優勝請負人」のアンチェロッティ監督が、ここからどのようにチームを導いていくのか。注目して追いかけたい。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
この試合では、立ち上がりからバイエルンの選手の動きに躍動感があった。その大きなきっかけになったのが、チアゴ・アルカンタラの復帰だ。
現在はトップ下で起用されることが多いチアゴは、相手守備陣と中盤とのあいだにできるスペースでパスを引き出し、攻撃の起点として機能している。
ボールタッチを好むため、これまではトップ下でプレーしても、パスを受けるために下がってくることが多かったが、最近では相手の嫌がるポジショニングをキープしながら、パスを待つことができるようになった。
狭いスペースで相手選手のプレッシャーを受けてもボールを失わず、アイデアのあるプレーを披露することができるチアゴは、バイエルンの攻撃に間をもたらしている。
彼を経由することでタメが作られ、相手の注意がそこに集中している隙を突いて、アリエン・ロッベン、ドグラス・コスタ、フランク、リベリ、そしてキングスレー・コマンといったドリブルを得意とする選手が、スペースでパスを受けることができるようになってきている。
こうしたチアゴのプレーに、カルロ・アンチェロッティ監督も「いるべきポジションに留まり、相手の守備ライン間でボールを受けていた。素晴らしい」と称賛した。
また、ハンブルク戦で見られた、チアゴとトーマス・ミュラーとの併用は、今後のバイエルンにとって大きな武器になるかもしれない。
チアゴが作り出した攻撃のアクセントを、動き出しに優れたミュラーは最大限に活かすことができる。
アンチェロッティ監督はハンブルク戦後、「ミュラーは、ピッチ上でベストの選手だった。全選手が素晴らしかったが、そのなかでもミュラーがキーマンだった」と絶賛。ロッベンも「トーマスはチームにとって、ものすごく大事な存在なんだ」と語り、その活躍を喜んだ。
チーム内におけるバランスは、大幅な向上の兆しを見せている。だが、勝負の4月、5月に向けてバイエルンは、さらにコンディションとコミュニケーションを高めていかなければならない。
「CL優勝請負人」のアンチェロッティ監督が、ここからどのようにチームを導いていくのか。注目して追いかけたい。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。