復調バイエルン、悲願のCL制覇に向けてキーマンとなるのは!?

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年03月03日

連続での土壇場同点劇! 粘り強さは大事だが、それだけでは…。

ヘルタ戦では苦しんだものの、直近の4試合で17得点と攻撃力が爆発。課題を克服しつつあるバイエルンは、国内では2位以下との差を広げつつあり、欧州の舞台でも主役の座に登らんとしている。写真はCL・アーセナル戦。 (C) Getty Images

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 バイエルンが好調だ。
 
 アーセナルとのチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝トーナメント1回戦・第1レグを5-1でモノにすると、ブンデスリーガ第22節のハンブルク戦で8-0の大勝、そしてDFBカップではシャルケを3-0で下して悠々と準決勝進出を決めた。
 
 今年に入ってからのバイエルンは、勝ちはするものの内容的には決して良くない試合が続いていた。
 
 17節のフライブルク戦、19節のインゴルシュタット戦では、統率の取れた守備で対抗する相手に苦戦し、アディショナルタイムに何とか決勝ゴール。21節のヘルタ・ベルリン戦でも、同点弾が生まれたのは95分56秒のことだった。
 
 ヘルタのパル・ダルダイ監督は「表示された96分どころではない。98分間プレーしていた。受け入れることはできない。すまないが、あれは“バイエルンボーナス”だ」と憤慨。あと少しのところで大金星を逃しただけに、その心情は誰もが理解できるものだった。
 
 もちろん、そこで勝ち切る、あるいは勝点を拾う強さがバイエルンにあるのは、見逃せない点だ。
 
 元監督のオットマール・ヒッツフェルトは、「長年培ってきたメンタリティーの強さだ。バイエルンがプレッシャーをかけ続けると、大抵の相手はそれに押し込まれ、時間稼ぎに気がいってしまうんだ」と、このチームが持つ土壇場での強さの秘密を明かした。
 
 そうした粘り強さが健在なのは頼もしいことではあるが、それだけではタイトルを勝ち取ることはできない。特に念願のCLで頂点に立つためには、少しのことではブレない安定感と、どんな相手にもチャンスを作り出せる武器がなければならない。
 
 その点で大きな問題として挙げられていたのが、決定機の少なさだ。
 
 卓越した個の力を持った選手を揃えているバイエルンだけに、局面でそれぞれのイメージとクオリティーがはまれば、それだけでゴールに持ち込むこともできる。
 
 だがこれまでは、守備を固める相手にオーソドックスに攻めては撥ね返されるというシーンが多く、“ゴリ押し”の印象が強かった。それゆえ、識者やファンからは、ペップ(ジョゼップ・グアルディオラ)の時代を懐かしむ声が少なくなかった。
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