欧州で重ねた年輪と代表10番の重み。苦境の香川真司が闘い続けられる理由

カテゴリ:海外日本人

安藤隆人

2017年02月13日

出番がなかったライプツィヒ戦のミックスゾーンで見せた表情とは?

 2月4日のドルトムント対ライプツィヒの一戦。筆者はジグナル・イドゥナ・パルクの記者席に座って見ていた。ブンデス上位決戦のスタメン表に香川の名前はなく、後半に入ると、ゴール裏で黙々とアップする姿があった。いつ出番が来ても良いように、動きを止めることなく、身体を温めていた。
 
 だが、1−0のリードが続き、追加点が欲しい状況で彼に声が掛かることはなかった。3人目の交代が決まると、名前を呼ばれなかった香川は足早にベンチに戻っていった。
 
 無念の瞬間だっただろう。だが、これで一喜一憂するほど、香川は経験値の低い若手プレーヤーではない。
 
 もうすぐ28歳。年輪を重ねるとともに積み上げてきたものがあるのだ。高3でのプロ入団、チーム最年少にして飛び級でのU-20ワールドカップ出場、20歳でC大阪のエースナンバー8を背負い、そして21歳でドイツに渡った。それからの活躍は、もう語るまでもないだろう。
 
 こうした積み重ねが香川の中で揺るぎない土台となっている。だからこそ、日本のエースナンバーを背負う男が、このまま不遇の立場に甘んじて飲み込まれてしまうことなど考えられない。
 
「試合には出たかったけど、試合は多いのでチャンスが来るのを待っている。そのためにしっかりと準備をして頑張ります」
 
 ライプツィヒ戦後のミックスゾーン。言葉はわずかだったが、きちんと足を止めて話をした彼の表情に、決して弱気な雰囲気はなかった。しっかりと前を見据える目には、闘い続けるという意思が宿っていた。
 
 再びチームから重宝される時がやってくる日まで――。将来的に所属チームを変えることになるかもしれないし、あるいはドルトムントのままかもしれない。いずれにせよ、彼が強い意志を持ち続けている限り、自ら歩みを止めることはないはずだ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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