申花ファンのブーイングが自軍選手を鼓舞したかに見えたが…。
2017年2月8日(水)
上海申花FC vs. ブリスベン・ロアー(オーストラリア)@上海蛇口足球場
上海は朝から生憎の雨模様、おまけに風もあってとにかく寒かった。
申花のホーム“蛇口足球場”は、3号線と8号線がリンクする地下鉄駅の目の前に在り、駅へと直結している。また駅を挟んだ反対側に在る商業ビルには多くの飲食店が点在し、試合開始前にここで各々の時間を過ごしてからスタジアムへ向かうのが申花ファンの通例のようだ。この日は雨で寒かったこともあるのだろう、高層階の飲食店フロアはもちろん、ビル全階を青いコートとマフラーを身に纏った申花ファンによって占拠されていた。
またスタジアムに隣接されるチケット売り場では当日券の販売が行なわれていたのだが、購入を希望して列に並ぼうとするファンに声を掛け行なわれるダフ屋行為が平然となされていた。ここでも何でもありな“中国式”を目の当たりにすることとなった。
試合は開始2分、ブリスベンFWのブランドン・ボレッロの豪快ボレーが決まり敵地での先制に成功する。また41分にはトミー・オアーが追加点を挙げてブリスベンリードで後半へ。
ハーフタイム、申花ファンが不甲斐ない自軍選手へブーイングを浴びせ鼓舞したことが功を奏したのか、後半開始から申花が攻め立てるのだが、この日はゴールが遠く、0-2のままタイムアップとなった。申花に比べて、ブリスベンの仕上がりの良さが際立った試合であった。
今回、上海取材を通じて強く感じたのは、中国随一の大都市・上海は“フットボール先進都市”でもあるということだ。
上港、申花ともに超級リーグに籍を置き切磋琢磨する現状下にあり、環境面は言わずもがな申し分ない。またファンが創るスタジアムの雰囲気は実に素晴らしい。特に“専スタ”蛇口足球場においては、すべての面で嫉妬心さえ覚えた。
だからこそ、彼らのACLプレーオフ敗退という結果は申花ファン同様にショックでならない。この熱気溢れる独特な雰囲気の中で、Jリーグ覇者・鹿島アントラーズはどこまでやれたのだろうか――。
またピッチレベルにおいては、超級リーグ開幕前の身体を創る時期ということはあるにせよ、上港も申花も、外国人選手とローカル選手との力格差を強く感じた。しかし、習近平国家主席の肝いりで昨年施行された「中国足球改革発展総体法案」のもと、各チームは更なる環境整備や育成組織の強化を図っている。助っ人と自国選手の間に横たわる格差問題は、いずれ時間が解決するのかもしれない。
成長途上にある中国サッカーの現状を垣間見られたことの意義は大きかった。また同様にアジアのライバルたちも着実な強化を図っている昨今において、日本サッカーはどのようなポジションを取っていけるのだろうか。アジアンフットボールの楽しみは尽きない。
取材・文・:佐々木裕介(フリーライター)
上海申花FC vs. ブリスベン・ロアー(オーストラリア)@上海蛇口足球場
上海は朝から生憎の雨模様、おまけに風もあってとにかく寒かった。
申花のホーム“蛇口足球場”は、3号線と8号線がリンクする地下鉄駅の目の前に在り、駅へと直結している。また駅を挟んだ反対側に在る商業ビルには多くの飲食店が点在し、試合開始前にここで各々の時間を過ごしてからスタジアムへ向かうのが申花ファンの通例のようだ。この日は雨で寒かったこともあるのだろう、高層階の飲食店フロアはもちろん、ビル全階を青いコートとマフラーを身に纏った申花ファンによって占拠されていた。
またスタジアムに隣接されるチケット売り場では当日券の販売が行なわれていたのだが、購入を希望して列に並ぼうとするファンに声を掛け行なわれるダフ屋行為が平然となされていた。ここでも何でもありな“中国式”を目の当たりにすることとなった。
試合は開始2分、ブリスベンFWのブランドン・ボレッロの豪快ボレーが決まり敵地での先制に成功する。また41分にはトミー・オアーが追加点を挙げてブリスベンリードで後半へ。
ハーフタイム、申花ファンが不甲斐ない自軍選手へブーイングを浴びせ鼓舞したことが功を奏したのか、後半開始から申花が攻め立てるのだが、この日はゴールが遠く、0-2のままタイムアップとなった。申花に比べて、ブリスベンの仕上がりの良さが際立った試合であった。
今回、上海取材を通じて強く感じたのは、中国随一の大都市・上海は“フットボール先進都市”でもあるということだ。
上港、申花ともに超級リーグに籍を置き切磋琢磨する現状下にあり、環境面は言わずもがな申し分ない。またファンが創るスタジアムの雰囲気は実に素晴らしい。特に“専スタ”蛇口足球場においては、すべての面で嫉妬心さえ覚えた。
だからこそ、彼らのACLプレーオフ敗退という結果は申花ファン同様にショックでならない。この熱気溢れる独特な雰囲気の中で、Jリーグ覇者・鹿島アントラーズはどこまでやれたのだろうか――。
またピッチレベルにおいては、超級リーグ開幕前の身体を創る時期ということはあるにせよ、上港も申花も、外国人選手とローカル選手との力格差を強く感じた。しかし、習近平国家主席の肝いりで昨年施行された「中国足球改革発展総体法案」のもと、各チームは更なる環境整備や育成組織の強化を図っている。助っ人と自国選手の間に横たわる格差問題は、いずれ時間が解決するのかもしれない。
成長途上にある中国サッカーの現状を垣間見られたことの意義は大きかった。また同様にアジアのライバルたちも着実な強化を図っている昨今において、日本サッカーはどのようなポジションを取っていけるのだろうか。アジアンフットボールの楽しみは尽きない。
取材・文・:佐々木裕介(フリーライター)