半年契約で退路を断った柴崎岳。テネリフェ移籍は正しい選択だったのか?

カテゴリ:海外日本人

二宮寿朗

2017年02月12日

戸惑いや環境の違いも成長の糧。這い上がっていく姿を、ぜひ見たい。

 ラス・パルマス入りが叶わずに失意のまま帰国していれば、多少なりともモチベーションに影響が出ていただろう。テネリフェの入団会見でのやる気に満ちた表情を見ても、1部昇格プレーオフ圏内につける(移籍発表時点)テネリフェへの移籍は、本人にとって理想に近かったのではないか。日本代表で活躍するより、スペインでのし上がっていく野望のほう が、今の彼には大きいのかもしれない。

 ここで注目すべきは、契約期間が半年間であることだ。
 
 クラブを1部に上げられればベスト。ただ、活躍次第では昇格させられなくとも1部のクラブから声が掛かる可能性が出てくる。もちろん半年でスペインを去る可能性もあるが、 退路を断つという意味では勝負しやすい契約条件と言える。
 
 国は違うが、鹿島の先輩である大迫はドイツ2部の1860ミュンヘ ンで半年間プレーし、次のシーズンには1部に昇格したケルンへの移籍を果たした。たとえ2部でも、活躍すれば先につながるのだ。
 
 とにもかくにも、柴崎は半年間で結果を残さなければならない。
 
 かつてスペイン2部の3チーム (カステジョン、ヌマンシア、ラス・パルマス)でプレーした福田健二(現・横浜FC強化部)に、メキシコからスペインに渡って最初は戸惑ったという話を聞いたことがある。
 
「スペインは芝が短くて、土は粘土質。練習前にスプリンクラーで散水するので、ボールは止まるどころかメチャメチャ速い。それもあって、最初はボールコントロールに苦しみました。それに中南米の人たちはフレンドリーで、試合後にみんなでバーベキューをやったこともありましたけど、スペインは一人ひとりが独立している。評論家のように、それぞれが独自のサッカー観を持っている感じでしたね」
 
 戸惑いや環境の違いも成長の糧となる。2部リーグから這い上がっていく柴崎の姿を、ぜひ見たい。
 
文:二宮寿朗(スポーツライター)
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