降格圏が迫るレスターに漂う「不穏な空気」…。苦境打破に求められることは?

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年02月06日

「ハードワークだけでは救えない」と論じられる岡崎に求められるもの。

トップ下に入り、相手のキーマンでもあるポグバの抑え役に回った岡崎。その意識が高すぎたせいか、攻撃では空回りし。チャンスシーンを逸するなど点取り屋としての働きは全くできなかった。 (C) Getty Images

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試合終了間際に声を荒げ、チームを鼓舞したシュマイケル。インタビューでは「恥ずかしい」と大敗を嘆いた。 (C) Getty Images

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 攻撃陣の中では、ジェイミー・ヴァーディーとリャド・マハレズという昨シーズンの核となった2人の他、主力と認められていた岡崎慎司にも奮起が望まれる。
 
 今シーズンの前半戦では、中盤のサポートもできる岡崎が、「救世主となるのでは?」という見方が強かった。実際、15年の付き合いになる『ミラー』紙のベテラン記者は、「プレミア級の心技体がある。もっと先発起用されるべきだ」と筆者に言っていた。
 
 だが、今では「ハードワークだけでは救えない」という意見が増えた。後半戦は、カップ戦を含む6試合で計5時間近く出場してもネットを揺らせずにいる。
 
 地元紙『レスター・マーキュリー』による、「5/10:守備面ではいつものように休みなく働くが、またも攻撃面で効き目が薄かった」というマンチェスター・U戦採点は、最近の典型的な岡崎評だ。
 
 岡崎は、「中盤のヘルパー」の域を脱すべく、パフォーマンス改善を意識する必要があるが、この意識改善はレスターの全員に共通することでもある。
 
 守備陣も、マンチェスター・Uの先制点からわずか2分足らずでズラタン・イブラヒモビッチに追加点を献上した場面のようにマーカー3人が誰も詰めなかったような緩いプレーを繰り返してはならない。
 
 試合後、守護神のキャスパー・シュマイケルは、「毅然とした態度で戦うしかない。さもなければ降格だ」と厳しい口調で語ったが、レスターの一員としてフロントにも毅然とした姿勢を求めたい。
 
 15年夏の就任時に「降格しても逃げない」とクラブに誓いを立てているラニエリに、「解雇などあり得ない」との声明を出し、チームが指揮官の下で降格回避への決意を新たにしやすい環境を作り出すべきだ。しかも早急に。
 
 次節で、監督交代を機に最下位から17位まで浮上したスウォンジーに敗れることがあれば、根本的に移り気で容赦のないメディアは、ラニエリ解雇を「禁忌」ではなく「現実」として論じ始めかねない。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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